プロローグ
俺はストーカーだ。
ただの会社員だった俺が同僚に誘われて行ったアイドルのライブでみっちゃんというアイドルに心を奪われてしまったのだ。そこから堕ちるのは早かったグッズを買い、握手会に行き、彼女の家を突き止めて尾行を始めてしまった。自慢ではないが彼女の家を特定できたのは俺くらいのものだろう。
そして自分の家を彼女の家の少し近くに移し。部屋には彼女の盗撮写真をこれでもかというくらい貼った。
今までの人生でここまで充実した日々を過ごしたことはなく、まさに人生の絶頂期といったところだ。
あまり関係のない話だが俺の容姿はかなり醜い部類で子供の頃は化物と罵られ、友達もできなかった。流石に中学生くらいにもなるとそこまで露骨に嫌がられることもないが少なくとも女の友達などはできたこともなかった。
そんな俺に微笑んでくれる彼女の笑顔は例え営業スマイルだったとしても余りにもまぶしかったのだろう。
だからというわけでもないが俺は誇りをもってストーカーをしている。彼女に迷惑をかけたことは断じてない、物を送り付ける事もなければ、握手会の制限時間も守るのだ、追跡している時も決して気づかれてはいない、そう気づかれてはいないはずだったのだ……。
とある休日に俺は日課として彼女の写真を眺め今日の彼女のスケジュールを確認していると
ピンポーン
と部屋のチャイムが鳴った。
家を訪ねてくるのは宅配くらいしかいないので何か彼女のグッズが届いたのだろうと特に深く考えずにドアアイも覗かずに部屋のドアを開ける。
「すいません、ちょっとお話よろしいでしょうか?」
チャイムを鳴らした相手を見て、一瞬で目が冴え汗が噴き出した。
玄関に立っていたのは誰がどう見ても警察官だったのだ。
警察が部屋を訪ねてきたのは初めてだし、部屋中にはアイドルの写真が貼ってあるし、他にも警察には見せられないようなものもたくさんある、動悸が止まらないし、動揺もしてしまう。バレたのだろうか。
俺がストーカーだということが。
何かを喋ろうとしたが何を喋ればいいのかもわかない。
ドアを開けたにも関わらず返事もしないこちらの様子を警察官はかなり訝しげに眺めながら喋りだした。
「この辺りで不審な人物を見かけたとのことで……」
警察が言い終わる前に俺は駆け出していた。
逃げる?逃げた先に何があるというのだ、それでも逃げ出さざるを得なかったのだ。
しかし焦って勢いよく飛び出したせいか階段で躓いてこけ……