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006 盗賊とダークエルフの少女

 俺は首なし馬車でイナカ村までやって来た。


「お客さん、そろそろイナカ村ですよー」


「ふぅー、やっと着いたか。ずっと悪路だったせいで腰と尻が痛い……」


 降りる準備をしていると御者(ぎょしゃ)が慌てた様子で話しかけてくる。


「お、お客さん! 盗賊です! 引き返しますか!?」


 見ると前方からこちらに向かってダークエルフの少女が逃げてきており、その後ろから盗賊達が追いかけている。


「いや、俺がなんとかしよう。パイソン、アイテムボックス」


 アイテムボックスから魔剣テンペストブリンガーを取り出す。馬車から降りると、走ってきた少女が俺に抱きついた。


「た、助けてください……」


 少女はブルブルと震えている。よほど恐い思いをしたのだろう。俺は少女の頭を撫でてやると出来るだけ優しく言った。


「もう大丈夫だ。後ろに隠れていろ」


 俺は少女と盗賊達の間に立ち剣を構える。


「支援魔法なら得意です。攻撃力向上! 素早さ向上!」


 少女が支援スキルを使うと、急に力が湧き、身体が軽くなった。


「そこの女を渡せ! ついでに金目の物も出しな!」


 コボルト族らしき盗賊がシミターを突きつけてくる。


「金目の物だと……?」


 こっちは貧乏スキルのせいで金銭をほとんど所持出来ないってのに!


「許さん! 絶対に許さないぞ!」


「うるせえ! 人型の分際で偉そうに! 奴隷にしてやろうかとも思ったが、ゆっくりいたぶって殺してやる! お前らやっちまえ!」


 どうやら喋っていた奴が盗賊の親分だったようだ。見た目が同じコボルト達がシミターを振り回して襲ってくる。


「ふっ!」


 俺が魔剣を一閃させると、先頭のコボルトは構えていたシミターもろとも両断された。そのままコボルト達の間を駆け抜けながら斬り捨てる。親分の正面に立つと剣の切っ先を突きつける。


「馬鹿な……何かの間違いだろ……?」


 残るは盗賊の親分だけだ。親分は突然ガバっと土下座をすると謝りだした。


「すまねぇ! 俺が悪かった! この通りだから命だけは取らないでくれ!」


 俺が剣を下げる。


「甘ちゃんが! 死ねぇ!!」


 親分が隠し持っていた短剣で襲いかかってくる。


「まぁ、そうくるだろうとは思ってたよ」


 俺は油断したと見せかけて全く油断していなかった為、冷静に短剣を持つ腕を切り落とし、胴を斬った。


「つ、強すぎる……無念……」


 最後の一人も息絶えた。魔族の世界は弱肉強食だ。


『レベルアップ! レベルが101になりました』


「いやぁ、あんた強かったんだなぁ。見事な戦いぶりだったよ」


 御者が感心している。


「助けてくれてありがとうございます。あなたは命の恩人です!」


 ダークエルフの少女は頬を赤らめながらお礼を言った。


「相手が弱かっただけさ。ところで、どうして追われていたんだ?」


 盗賊の目的は明らかに少女だった。


「私、ユニークスキル持ちなんです。多分それが目当てだと思います」


「どんなユニークスキルなんだ? あ、嫌だったら答えなくてもいいぞ」


「命の恩人ですから、信用します。私のユニークスキルは効果時間延長です。例えばさっきの支援魔法は本来30分で効果が切れますが、私が使うと1日効果が続きます」


「へぇ〜そりゃすごい。それなら狙われるのも納得だな」


 そんな話をしていると御者が馬車の方向を戻して、こちらに来た。


「イナカ村はすぐそこだ。さぁ、馬車に乗って」


 御者が馬車に乗るように(うなが)す。


「そうだな。君も乗る?」


「私はリタです。乗ってもいいですか?」


「いいぞ。俺はラング。しばらくはイナカ村に滞在する予定だ」


 馬車に揺られながら自己紹介する。


「私の両親は宿屋をやってるんです! 是非泊まっていってください」


「考えておくよ」


 馬車が走り出してすぐにイナカ村に到着した。

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