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038 ギルド長の報酬

「鉄喰いを討伐してくれた事は本当に感謝しておる」


 ギルド長は長い(ひげ)を撫でながら、何度冒険者を送り込んでも解決出来なかった事や鍛冶師ギルドからの圧力があった事を長々と説明した。


「……というわけで、冒険者ギルドとしては大変助かった。これだけの功績じゃ。感謝だけではなく報酬を与えなければならないじゃろう。そうだ、冒険者ランクをS級に認定しようじゃないか」


「D級からいきなりS級!?」


 入り口で話を聞いていた受付嬢がものすごく驚いている。


「む、前代未聞じゃが、S級冒険者が出来ないことを成し遂げたのじゃ。これくらい当たり前じゃろう。ラング殿もそれでいいかな?」


 こうして俺はいきなりS級冒険者になってしまった。まぁ、もっと強くなってからゆっくり冒険者ランクを上げていく予定だったので、予定が早まっただけと考えられなくもない。


「俺はそれでいい。それじゃあ、帰っていいか?」


「待ちなされ。まだ、報酬金の話が済んではおらんぞ」


 報酬か、金貨を貰っても消えてしまうから正直いらないんだよな。


「金には困っていない。武器防具やアイテムであれば受け取る」


「あ、ギルド長のコレクションの剣なんかどうですか〜?」


「な!? あれはわしの大事なコレクションじゃ! 命の次に大事な物なのじゃぞ!」


「沢山あるんだから1本くらいいいじゃないですか。ケチですねぇ」


「ケチじゃと!? そこまで言うならくれてやるわい! ちょっと待っとれ!」


 ギルド長は奥の部屋に行くと5本の剣を持って出てきた。全て布で包まれており、中身は見えない。


「この中から1本だけ選ぶが良い。ただし布で包んだままじゃ」


「これじゃあ、選びようがないじゃないですか! 卑怯ですよ!」


 何故か受付嬢がこちら側の味方についてくれるが、今後の関係がギクシャクしないのだろうか?


「1本だけ間違いなくSランクの剣が混ざっている。他はCランクじゃがな! ひょっひょっひょ!」


「問題はない。選ばせてもらうぞ」


 俺は並べられた剣から1本選びだした。


「その剣はああああああああ!?!?」


 ギルド長はかなり焦った様子で狼狽(うろた)えている。


「これがSランクの剣。そうだよな?」


 俺が布を外すと、中から黒い装飾の剣が出てくる。実はこっそり鑑定したおかげで中身が分かっていた。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


【魔王剣ダークヴルム】

 ランク:S

 攻撃力:+5000

 属 性:闇

 スキル:グラビティ(消費MP10000)


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 持ってみると意外と軽い。むしろ軽すぎて扱いが難しいだろう。しかし、鞘から剣を抜くと黒い刀身が見えた瞬間、かなりの重量となった。


「なんだ? かなり重くなったぞ」


「その通りじゃ。それは魔王剣ダークヴルム。古代の魔王が持っていた剣じゃ。鞘から剣を抜くと大人が5人がかりでやっと運べるほど重くなるのじゃ。それを扱うのはどんな剣の達人でも無理じゃ。返してくれんか?」


 なるほど、もしもSランクの剣が選ばれても使えないような剣を選んできたというわけか。なかなかずる賢い爺さんだ。


「いいや、これは丁度いい重さだ。気に入った」


 ビュビュンッ


 俺のレベルと筋力であれば問題なく振ることが出来る。更に剣の重さによって威力も倍増(ばいぞう)しそうだ。


「その剣を軽々と!? ……真の持ち主に巡り会えたというわけかのう。大事に使ってやってくれい」


「ああ、分かった」


「ラング様、こちらが新しい冒険者証です」


 S級冒険者とSランク武器を手に入れることが出来た。冒険者ギルドに来て良かったな。


 カザドが作っている剣もSランク以上の性能になるはずだ。二刀流で行くか、それともアイテム創造で更に強い武器に挑戦するか、楽しみである。ついでに、様々な属性の剣を武器屋で物々交換(酒)してから宿に帰った。

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