四次元ポケット?
ネコってちょっと意地悪かもしれません。
ボクはマリーに手を差し延ばし、言った。
「君の村を救いに行くにゃん!」
マリーの村の危機を解決するためリンが立ち上がる!
※前回の誤字は諸事情のため訂正しましたにゃ。
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「どうやって……?この花は猛毒だって……」
マリーは瞳にいっぱいの涙を溜めながらそう言った。
彼女が持っている赤い花、天上墓褝の花。
それから獲れる蜜は、一口飲めば身体の傷や病がたちまち治るが、その副作用として全身の細胞が破壊されてしまうという恐ろしい側面を持つ毒花なのだ。
マリーは図書館の古い文献で天上墓褝のことを知ったようだ。しかし重要な部分を読み跳ばしてしまったようで、この花の蜜を飲めば村のみんなを元気にできる! と勘違いをしてしまった彼女は、その日の晩に家を抜け出し天上墓褝を採取しにきてしまった。
でもボクにグッドなアイデアがあるのにゃ!
と、リンはアイテムボックスの中を漁り始めた。
「ふぇ?」
リンの急な行動にマリーも目を丸くしている。
バステトもリンが何をするのか気になったのか
『リン何を始めるつもりなのです?』
ボクはある道具を取り出すと、悪戯を思い付いた子どもの様にニヤリと笑った。
「薬がなければ作っちゃえばいいのにゃ!」
リンが意気揚々とアイテムボックスから取り出したそれは天秤の様な形をしていた。
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その道具を取り出すと、今まで泣いていたマリーも気になったのか、リンが手に持つ物を指差しおずおずと聞いてきた。
「あの……それは?」
リンは待ってましたっ!ばかりに言う。
「これは冥王の天秤って言ってにゃ。最初に自分が欲しいアイテムを一方の皿に指定しておいて、他方の皿にそのアイテムと釣り合いが取れるだけのアイテムを置くと……」
「そのアイテムが手に入るの……?」
恐る恐る答えを言ったマリーにゃん。流石! 鋭いにゃ!
「その通りだにゃん!」
「じゃあアリーの病気を治せるお薬も作れる!?」
「当ったり前にゃん!」
「じゃあじゃあ! 村のみんなも!?」
「勿論救えるにゃん!」
やったー!!! とボクの手を掴んでぶんぶんと振って喜びを表現力するマリーにゃん。でもこの天秤、致命的な欠点があるにゃん……
「でも喜ぶのはまだ早いにゃん!」
ボクはマリーの喜びに水を差すように言った。
「え?」
さっきまでぶんぶんと振られていた手が途端に垂れ下がった。
「この天秤にも欠点があってにゃ。天秤がそのアイテムに釣り合わないと判断した場合、片方に置いたアイテムは全てロストするにゃ」
「つ、つまりどういうこと……?」
「つまり……どれだけアイテムを載せても、薬に釣り合ってないと全ておじゃんにゃん!」
このアイテム燃費悪すぎにゃん。しかも必要なアイテムのレア度や、その量を指定しない所もこの天秤の嫌らしい所だにゃん。
「う、うわーん!!! アリー!!! 病気一つ治してあげられない、不甲斐の無い姉でごめんなさいーーー!!!」
ボクの話を聞いたマリーは号泣し始めてしまった。
あれ?
するとバステトがジト目で
『リン、肝心なこと言い忘れてないですか?』
ハッ!? そうだ!
「マリーにゃんマリーにゃん! アイテムなら掃いて棄てるほど持ってるから安心するにゃ!」
そう言ってボクはアイテムボックスを指差した。
「ひぐっ……てっきりもうみんな助からないかと……」
本当ごめんにゃ……
バステト『しかもこの天秤、他にも欠点があるのです』
リン「使い勝手が悪いから、滅多に使わないにゃ!」