夢が詰まったアイテムボックス
猫は自由気ままに過ごします。
「よ、よし! 次はアイテムボックスにゃん!」
ボクは恐る恐るメニュー画面からアイテムボックスを開くと──
【アイテムはロストしました】
「な、なーんてにゃ」
アイテムが全て消え去る。そんな悪い方向への予想は見事外れ、リンのアイテムボックスには見覚えのあるアイテム群が許容範囲ギリギリまで詰まっていた。
どんなのが入ってたかにゃー? 彼女は部屋の片付けをする際、マンガ等に気を取られ本来の目的から逸れるタイプである。今回も例に漏れず、アイテムボックスの中を見て
「あ、これはあの時のやつだにゃっ!」
本来の目的から逸れていた。
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あれから10時間。アイテムボックスを見始めてから10時間もの時間を浪費したリン。彼女はまだアイテムボックスに夢中です。
「これはーダンジョン探索用でーにゃん」
今彼女は押し入れの整理をする様な感じで、アイテムボックスを整理していた。あの、本来の目的は?
彼女は一度こういう作業を始めると、途中で止められないタイプでもあります。
「おー、懐かしいにゃん」
思いでの品を見つけたのか、思い出に浸るリン。脱線しまくりです。
「はっ、これは!?」
何かを見つけたリン。興奮気味ですね。
「摩擦電々虫の体液……」
いえ、寧ろ青ざめていますね。
このモンスター、いつもは温厚な性格でのそのそと草を食べるだけの基本的に無害なのですが、雨が降ると凶暴化して周りに雷電を撒き散らす厄介なヤツです。しかもこいつ倒すと守備力特化の上級プレイヤーでも即死するほどの雷を放つのです。
よっぽどの理由がない限り雨の日にこいつに近づく輩は存在しません。プレイヤー達が合同で作ったランキング。その中の嫌いなモンスターランキングでトップ10に入る程このモンスターは嫌われ者なのです。
おっと、どうやらアイテムボックスを整理は止めるみたいですね。摩擦電々虫そんなに嫌いだったのですか。
あ、申し遅れました。私はリンのドライブ、バステトなのです。
今はリンと合体しているのでお話に出てこれなかったのです。何でこんなことになっているのかは私も分からないのですが、まあ、焦ってもしょうがないです。のんびりまったり解明していけばいいのですよー。
私は摩擦電々虫のトラウマを思いだし、涙目になっているリンを端目に欠伸しました。
「電々虫はもういやにゃーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!?」
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「はぁ……はぁ……これは後で絶対売却するにゃっ!」
摩擦電々虫の体液は上級魔法の媒体にもなり、結構な額で売れるのにゃ。ただ、雨の日にしか取れないし、返り討ちに遭うプレイヤーも多いからあまり流通してにゃいけど。
その時ボクはやっと気付いた。
「い、今何時にゃっ!?」
慌ててメニューを開くと。
<<23:55>>
「にゃ、にゃんですとーーー!!?」
えっと、確かエタグロにログインしたのが……
「1時にゃん……つまり、もう11時間近く経ってるのかにゃ!?」
今思えば空が暗いにゃん!? 時間までボクは何やってたんだにゃ!
しかも!あの謎のエラー!メニューにログアウトボタンが無いってどういうことにゃんか!?
うがー!!? と自分のバカさ加減に頭を抱えるボク。どうする!どうするの!?どうするのさボクは!!?
このままだと地面に穴を掘って一生冬眠しかねないボクに
『リン』
ハッ!? ば、バステトっ!
腕輪から声が聞こえた。しまった! 今まで忘れてたにゃん!?
『今まで私のこと忘れてたのですね?』
そ、ソンナコトナイニャー?
アイテムボックスに夢中になって忘れてたなんて言えないにゃん……。
『私のことを忘れる位アイテムボックスのことが好きなのですね。ならアイテムボックスと冒険すればいいのですよ』
……ごめんなさい。すっぱり忘れてたにゃ。
むぅ、見事に全部バレバレだったにゃん。
『そうやって、最初から素直に謝ればいいのですよ』
ねぇ、でもバステトこそ何で今まで黙ってたにゃ?
『自分の姿を良く見るのですよ』
あっ! 合体してるにゃ!? どうして!?
……そういえば! ここに来た直前からこの状態にゃん!
ボクは慌ててステータスを確認する。
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n■me:リン・クロッケン
Lv.999(未■放)
■ob:化猫神
s■■ll:肉球拳。■■■■
drive:【stag■■】■■■■■
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「うん、何も問題ないにゃん」
『どこがやねん』
鋭いツッコミだったにゃん。
ステータスに一体なにが……?




