厄介な客
「おや旦那様、お隣に居るのは?」
声を掛けた青年は、髪は黒く肩に届くほどの長さで、右目には少し長い前髪がかかっている。男だが、色気はとてつもない。
そして隣には、派手な色の着物に身を包んだ女がいた。
「次期楼主の悠助だ。」
「そうですか。初めまして、私は蘭丸。
これから宜しく御願いしますね。」
蘭丸はフフッと笑うと「行きましょう」と言って、女と共に座敷に入って行った。
(見るだけでもゾッとする。あの笑顔で何人の女を抱いたのだろう。まぁそれが、此処の仕事か。)
悠助はこれ以上深く考えず、榊に大人しくついていった。
「だから、分からんのか!儂が宇治宮を申しているのじゃから、早く出せい!」
「ですから、宇治宮は今、座敷の方に出ており...。」
「葵、悠助を頼む。
・・・鈴城様、どうしましたか?」
榊は怒りを抑えようと、鈴城に近付く。
「儂に宇治宮を出してくれんのじゃ。
高額の金を払っておるのに。」
「申し訳ありません。
代わりの男達もいらっしゃいますから。」
「そんな宇治宮に敵う者等・・・。
おぉ、彼奴が良い!」
鈴城は悠助を指差した。
(お、俺?)
「すみませんが、彼奴は...。」
「まだ、見習い等と言い出すのだろう?その点は大丈夫だ。金はしっかり払う。」
鈴城は榊の言葉に聞く耳など持たず、ドカドカと悠助に近付く。
そんな時、葵が悠助の前に立った。
「お引き取り願いたい。」
「っ、餓鬼の分際で何を。お前達、来い。」
合図をすると、体格の良い男達が鈴城に近寄る。
「きゃ~~~!」
どこかの女が叫ぶ。
「ったく、世話が焼ける。」
葵は木刀を取りだし、男達に向ける。それに負けずと男達も鞘は付いたままだが、刀を取り出す。
男達が左右から切り掛かって来たが、葵はするりと避け、一人の男の背中を叩いた。
「グアッ!」
「っ!おりゃ~!!」
もう一人の男は鞘から刀を取り出して、狙いを悠助に変えた。
「チッ!」
葵は悠助を押し倒して、男の攻撃を木刀で受け止めた。その時α特有の甘い香りが悠助の鼻を抜けた。
「あぁ…っ!」
袴の袖をつかんで喘ぎが漏れるのを必死に耐える。
(此処で発情なんかしたら…)
悠助は葵の体を押して、その場から走った。
次回はR15つくかな?