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カルテNO.2 中村(武闘家)7/8

 7

「さあ、中村さん、今日はもう50センチドラゴンに近づきますよ」

 

 タイムリミットまで、残すところ1週間。中村のPTSD治療は大詰めを迎えていた。


「お、おう! やってやるぜ畜生!」

 

 言葉とは裏腹に、中村の足はピクリとも動かなかった。

 

 医師いわく、このドラゴンは「おとなしいドラゴン」で、めったに吠えたり噛んだり炎を吐いたりしないとのことだったが、中村にとって、そのような言葉は何の気休めにもならなかった。


「せいや! 行くぞ、このドラゴン野郎! お前なんか怖かねぇぞ!」


 檻の中で眠そうにあくびしているドラゴンに向かって、「着けていると安心するから」とメタルクローを装着した中村が、及び腰で遠くから吠えている図は、事情を知らない人間から見たらコント以外の何物でもなかった。


「いいですよ、中村さん。その調子です」

 

 中村の健闘ぶりに、思わず医師の応援にも力が入る。


「うおお、待ってろ里美! 兄ちゃん必ず手術代稼いでやるからな!」



 中村が恐怖心と闘いながらじりじりとドラゴンとの距離を詰めている時、医師は「中村さんの妹って、里美ちゃんっていうんだ」と、ぼんやり考えていた。


   ※※※


 そうこうしているうちに、中村が再び樹界深奥に挑む日がやってきた。


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