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カルテNO.2 中村(武闘家)1/8

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「先生!助けてくれ!俺をもう一度ダンジョンに潜れるようにしてくれよ!」

 

 ダンジョン『樹界深奥』の入り口から徒歩数分。『シンオウメンタルクリニック』の診察室で、大男が医師に必死の形相で訴えていた。


「えーと、中村さん? とりあえず落ち着いて。そちらの椅子にどうぞ」

 

 中村の声と体の大きさに面食らいつつも、医師は冷静に着席を促した。

 

 中村と呼ばれた大男は「おう、そうだな、スマン」と、素直に患者用の椅子に腰かけた。

 

 医師が改めて中村の記入した問診票を見てみると、「困っていること」の欄に「ダンジョンに潜れない」と書いてあった。


「この、ダンジョンに潜れないというのを、もう少し詳しくお聞かせいただけますか」

 

 医師の質問に、中村はもどかしそうに「詳しくも何も、書いてある通りだよ。ダンジョンに入ろうとすると、体が動かなくなっちまうんだ。なぁ、なんとかしてくれよ。ダンジョンに潜れないと俺、困るんだよ」と答えた。


「体が動かなくなる?」


「ああ、そうなんだよ。前はこんなことなかったのによ、ダンジョン攻略の準備をしてるだけで冷や汗が出てきて、いざ樹界深奥の入り口に立つと、体が石みたいに固くなっちまって、一歩も動けなくなるんだよ」

 

 医師は「準備をしているだけで冷や汗……」とつぶやき、「『前はこんなことなかった』とおっしゃいましたが、ダンジョンに入れなくなったのはいつからですか?」と聞いた。


「え? いつだったかなぁ……」

 

 中村はしばらく考え込んだ後、「最後に潜ったのは、1か月ぐらい前かな?」と言った。


「その時は、中村さんお一人で?」


「まさか!仲間と一緒だよ。俺は武闘家なんだけど、勇者とか魔法使いとか」


「そうですか。その時、何かいつもと変わったことはありませんでしたか?」


「変わったこと……?」

 

 中村は再び考え込んでしまったが、医師は辛抱強く中村の返事を待っていた。


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