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北のはずれで終わりの続きを2

 まるで白糸のような雨が降り続く、とある春の日の朝。


 雨を嫌って軒下に逃げ込んだ幻光蝶が、ぼんやりと黄みがかった光を辺りに放っている。


「はあ……」


 雨粒が屋根を叩く音が満ちる家の中で、縁側に座り、羞恥心のあまりに火照った頬を手で押さえる。視線を上げると、水滴が模様のようについたガラス戸には、顔を真っ赤にして笑い転げている絶世の美少女が映り込んでいた。


「もう。いい加減笑うのやめない?」

「だ、だって……ンッフフフフフ! それで、わっちに文句を? まあ、可愛らしいこと!」


 その人――文車妖妃は、よほど面白いのか脚をパタパタと動かした。二重に羽織った乳白色の打ち掛けから覗く脚は眩しいほどに色白で、足の爪は鮮やかな紅で染めてあり、雨に沈む光景の中で、やけにその色だけが目につく。


「笑いごとじゃないってば……」

「これが笑わないでいられおうすか! わっちは本を貸しただけ。それをどう使うかなんて、当人次第ざんすが……フッ、フフフフ。まさか、登場人物になりきって蛇退治とは。流石のわっちも……フフフフフ!」

「笑い過ぎ。いい加減にして!」

「ひぃ。わっちだって笑いたくて笑ってるわけじゃ……ンッフフフフ!」


 すると、また話の内容を思い出したのか、文車妖妃は前屈みになって笑い出した。

 彼女が肩を揺らす度に、島田髷に差された櫛がチリチリ甲高い音を上げて、雨音に彩りを添える。私はその音色を聞きながら、小さく息を漏らした。


 彼女は文車妖妃というあやかしだ。簡単に言うと、想いが届かなかった恋文が変じたもので、その生まれが関係しているのかは定かではないが、彼女は恋物語を心から愛している。棲み家としている吉原の屋敷には、大量の蔵書を抱えているくらいだ。恋愛作品への造詣が深く、先日、水明が参考にした本も彼女が貸し出したものだ。


 この日、私は文車妖妃と会う約束をしていた。借りていた本を返却するためだ。


 その際に、あの日のできごとを詳らかに説明し、クレームを入れたのだ。それがどうにもツボに嵌まったらしい。文車妖妃は、お腹を抱えてケタケタと笑い転げていた。


「それにしても、どうしてTL小説なの。もっと他にもあったでしょう」

「そうかえ? あの子、まだなににも染まってないでありんしょう? きっと、これから自分の〝色〟を見つけるんでしょうけど……そうね、〝提案〟みたいなものざんす」

「〝提案〟って、つまり……」

「俺様系になればいいと思って。ホホホ、無愛想なあの子には、ぴったりでありんす!」


 どこか邪悪な笑みを浮かべた文車妖妃に、私は激しく首を横に振って抵抗する。


「ない! それは絶対にない! それって妖妃が好きな属性ってだけでしょう」

「あら。男に強引に迫られる喜びをご存じない? ウッフフフ! 夏織は優しい王子様タイプに夢を見ているでありんすからねえ……」

「まっ……待って。そんなことないし」

「嘘おっしゃい。黒髪赤目よりも、金髪碧眼のキャラの方が好みざんしょ?」

「うっ」


 脂汗をたらたら流し始めた私に、文車妖妃はちろりと流し目を送った。


「恋愛物のよさがわからないお子様には、わっちの海よりも深い考えは理解できないでござりんす。対等に渡り合いたいなら、男のひとりやふたりたらしこんでからおいでなんし」

「…………うう」


 ぐうの音も出ない。文車妖妃はコロコロと笑うと、ちろりと私を覗き見た。


「恋愛も物語も、勉強、勉強でありんすよ。フフ、主さんがまともに恋の話を読めるようになりんしたら、もっと楽しくお話できるんでしょうけれど。そうしたら、わっちのお友だち(、、、、)として、色々と助言してあげるのもやぶさかではありんせん」

「……私は、まだ友だちにはなれないの?」

「ッフフフフ。まだまだでありんすなあ。もうちょっと精進しなんし」


 ――本好きの友だちができそうだって期待していたのになあ。


 読書傾向の差というのは埋めるのは容易ではないようだ。


 私には一番の友がいる。それはもちろん黒猫のにゃあさんだ。

 しかし、にゃあさんは本を読む趣味がなかった。それどころか、私が読書に熱中していると、自分を見ろと言わんばかりにページの上を陣取る始末。養父である東雲さんとは微妙に本の好みが違う。そんな環境の中、いつもひとりで本の世界に没頭していた私にとって、感想を語り合える友人というのは憧れの存在だった。文車妖妃とは先日知り合ったばかりだが、読書を愛する同好の士として、仲良くなれる予感がしていたのに……。


 ――ああ、悲し過ぎる。人生で一度でいいから、誰かと好きな作家や本について熱く語り合ってみたいものだ。


 私ががっくりと肩を落とした、その時だ。


「……で。そろそろ、わたくしの話を聞いてくれないかしら?」


 部屋の中にいたもうひとりの人物が声を上げた。


「あら、お人形さんみたいにだんまりでありんしたから、ここには休憩に来ただけかと。失礼しおうす。どうぞ話なんし」

「相変わらず嫌味な女ですわね。お里が知れるというのは、こういうことかしら」

「なっ……! まああああああ! 口だけは達者なこと!」


 文車妖妃と火花を散らしているのは、どこか古風な衣装を纏ったあやかしだ。


 二十代前半くらいの若い女性で、艶やかな長い黒髪を背でひとまとめにし、藤色の袿に白地の小袖を着ている。胸には紅の掛帯をしていて、所謂、壺折装束と呼ばれる古代日本で女性がしていた旅装だ。

 彼女の名は唐糸御前という。かつて鎌倉時代に生きた女性だ。


 その伝説は、今もなお青森県藤崎市に遺っている。


 唐糸御前は五代執政、北条時頼の愛妾だった。類いまれなる美貌を持っていて、時頼の寵愛を受けていたのだが、そのせいで多くの嫉妬を買ってしまう。嫌がらせから逃れるため、彼女は生まれ故郷へ舞い戻ったのだという。その後――時頼は出家し、唐糸御前に会おうと津軽へと向かっているという噂を耳にする。しかし、彼女は愛する人の訪れを喜ぶどころか、長年の隠居生活で以前と比べて見る影もなくなってしまった自分の容姿に絶望して、池に身を投げてしまったと謂われている。


 そんな彼女は今、美しいものを遺すことに全力を注いでいる。付喪神の修繕師として活動をしているのだ。以前、己の本体を破損してしまった東雲さんも、彼女の世話になっているひとり。春には修繕が終わると聞いていたのだが、一向に連絡がなく、心配していたところに本人がやってきた。生憎、東雲さんが不在だったため、彼女には居間で待ってもらっていたのだが、どうにも痺れを切らしたらしい。


「わたくし、正直、待ちくたびれました。そこの娘さんも貸本屋なのでしょう? 話を聞いてくださらないかしら」

「はあ……。東雲さんじゃなくてもいいんです?」

「わたくしは、別に誰でも構いやしません。結果が同じであればいいのです」


 ――改まってなんだろう?


 思わず首を傾げる。その瞬間、ピン! と閃いた。


「まさか、私におすすめの本を探して欲しいとか……」

「いいえ。まったく違います。わたくし、本には興味ございませんの」

「うっ……! そうですか~」


 ざっくり斬られてしまい、しょんぼりと肩を落とす。


 にこり、と小さな口を歪めた唐糸御前は、おもむろに話し始めた。


「本日、わたくしがここに参りましたのは、お詫びと依頼のためですわ。お詫びは、東雲の掛け軸の修繕が遅れていること。依頼は、とある神を慰めて欲しいということです」

「……神?」


 その瞬間、先日の夜万加加智の騒動を思い出して、どっと疲れがこみ上げてきた。


 あれは本当に大変だった。締めつけられた痕は何日も消えなかったし、痛みも長引いた。できれば神様とはしばらく関わり合いたくないのだが、唐糸御前が私に依頼をしようと思ったのには、先日の接待の影響もあるようだ。


「本来ならば、東雲の方がよろしいのですけれど。あなたもなかなかやるそうではないですか。あの色狂いの夜万加加智を手玉に取ったそうですね。風の噂に聞きました。あの方、来年の春が楽しみ過ぎて夜も眠れないとおっしゃっているようですよ」

「うっわ、本当ですか……」


 よほど水明の〝俺様王子〟っぷりが刺さったのだろうか。来年の水明の運命や如何に。

 無事に帰してもらえたらいいな、なんて恐ろしいことを考えていると、唐糸御前は柔らかな笑みを浮かべて言った。


「その手腕を見込んで、ぜひともお願いしたいことがありますの。竜飛岬におわす荒ぶる神を鎮めて欲しいのです」




 唐糸御前の話を纏めるとこうだ。


 青森県竜飛岬には、嘆き続ける神が棲んでいる。

 その神のことを説明するには、北海道と本州がまだ繋がっていた頃まで遡る必要がある。

 津軽の竜飛岳には、腕っ節が自慢の黒神という神がいた。

 彼は十和田湖に棲むという、それはそれは美しい女神に一目惚れをしてしまう。それからというもの、毎日、龍に乗って女神のもとへと通い、「俺の嫁になれ」と求婚をした。

 一方、秋田の男鹿半島には、楽器を奏でるのが得意な赤神という神がいた。

 彼もまた十和田湖の女神に惚れ込み、鹿に乗って女神のもとへと通い、美しい笛の音を聴かせては「嫁になってくれ」と求婚をした。


 逞しい黒神と、優しい赤神。


 十和田湖の女神は、どちらにも心惹かれてしまって求婚を受けられずにいた。

 それに痺れを切らした黒神と赤神は、どちらが女神に相応しいか決闘することにした。

 武力に勝る黒神に、赤神の勝ち目はなく……負けた赤神は、男鹿半島にある岩屋の中に姿を隠してしまった。勝ちどきを上げた黒神は、意気揚々と十和田湖へ向かう。

 しかし、そこにはすでに女神の姿はなかった。心優しい赤神を選んだ女神は、彼を追いかけて岩屋へ隠れてしまったのだ。


 黒神はそれを知ると、酷く悲しんだ。棲み家の竜飛へ戻ると、北に向かってため息をつく。そのあまりにも強烈な風のせいで、メリメリと大地が裂け――やがてそこが津軽海峡になった。それ以来、竜飛岬には常に風が吹き荒れるようになったのだという。


 黒神は、千年以上経った今もなお、変わらず十和田湖の女神に未練を感じており、竜飛岬で泣き続けているのだそうだ。かの神が嘆く度に強風が吹き荒れ、海は荒れに荒れる。そのせいで、そこに棲むあやかしたちが迷惑をしているらしい。


「正直、黒神が嘆き続けるのはいつものことですの。ですがここ最近、かの神の嘆きが悪化しまして……」

「わあ、それは大変ですね……。嘆きが悪化した理由に心当たりはあるんですか?」

「いいえ。アレは定期的にこうなるのです。精神が不安定になる波があるらしく……わたくしもほとほと困り果てておりますの。海が荒れると、北海道から取り寄せている材料が届かなくなるのですよ。仕事が滞って仕方ありません。図体は無駄に大きい癖に、メソメソメソメソ……腐った女みたいで正直うんざりしますわね?」

「はあ……」


 ――神様に腐った女って……。


 どうやら、唐糸御前は口が悪い部類に入るらしい。恐れを知らない発言に圧倒されていると、唐糸御前は私ににじり寄り、手をしっかと握って熱の籠もった眼差しを向けてきた。


「ですから貴女にお願いしたいのです。以前、東雲がしてくれたように、あの神を鎮めて欲しいのですよ。娘なのでしょう? あなたにだってできますわよね?」

「東雲さんが?」

「ええ、そうです。それはそれは見事な手腕でしたわよ。あの駄々っ子みたいな黒神をあっという間に鎮めてしまいましたもの」


 自分の知らない養父の仕事に、ドキリとする。

 貸本屋なのに神様を鎮めるだなんてすごいという感情と、その姿を見たかったなあという感情がせめぎ合って、なんだかソワソワしてきた。


 脳内には、暴風吹き荒れる海上で、巨大な神と対峙する東雲さんの姿が浮かんでいた。

 きっと、それはそれはかっこよかったのではないだろうか。


 ――ああ! 滅茶苦茶気になる……!


「あの、あの。うちの養父はどうやって……」


 思わず唐糸御前の手を握り返して訊ねると、答えを聞く前に無情な声が居間に響いた。


「夏織、馬鹿なことを言うんじゃないぞ。絶対に引き受けるなよ、そんな依頼」

「うっ……。出た」

「出たとはなんだ。人をお化けのように言うな」


 顰めっ面になって、声がした方に視線を向ける。貸本屋と居間を繋ぐ戸のところに立っていたのは、水明とクロ、そしてにゃあさんだ。彼らは、三人三様の反応を表した。


「今が非常事態である自覚を持て、自覚を。そこの女、悪いが他を当たってくれないか」

「そうだそうだー! 水明の言う通りにした方がいいぞ、夏織ー!」

「どうでもいいけど、全員帰ってくれない? 昼寝の邪魔だわ」

「まあ! 失礼な獣でありんすね。わっちはきちんと夏織と約束を取り付けてから来ているでなんし。そこの女と一緒にしないで欲しいでござんす」

「まあ、お下品な物言いだこと。廓育ちはひと味違いますわね?」

「きいいい! なにを言いおうすか!」


 ひとりと二匹が増えると、途端に居間が一気に賑やかになった。


 様々な会話が飛び交う中、私はひとり考え込んでいた。

 青森、竜飛岬、黒神……。荒ぶる神を鎮めるために私ができること。


「ねえ、唐糸御前。東雲さんはなにを使って神を鎮めたんです?」

「わたくしも詳しくは存じ上げません。確か、お酒を手配していたように思いますけれど」

「ああ、神様ですもんね。黒神もお酒が好きなんですね。清酒かな……」


 そんな話をしながら、居間に隣接した養父の部屋へ足を踏み入れる。そして、壁一面に設置された本棚からある本を見つけて片頬笑む。


「……こら」

「ひっ!」


 すると、背後から怒気を孕んだ声が聞こえて、身を竦ませる。

 そろそろと後ろを振り返ると、そこにいたのは仁王立ちをした水明だ。


「駄目だと言っただろうが!!」

「ええええ、いやだって! 私も東雲さんみたいに神様を鎮めてみたい!」

「わが儘を言うな。今、優先すべきはどこぞの神よりもお前の命だ」

「うっ……。かっこいいこと言うじゃん……」

「茶化すな馬鹿」


 ほんのり頬を染めた水明に、私はずいと詰め寄る。

 すると彼は、瞳を揺らしてやや仰け反った。


「ナナシも言ってたでしょ。エスコートするみたいに守ってあげなさいって」

「そっ……それとこれはとは話が別だ。自分から厄介ごとに首を突っ込む必要はない」

「別にいいんじゃないかのう」

「ぎゃあ!」


 その瞬間、すぐ傍で聞き慣れない声がして、悲鳴を上げて水明に抱きつく。


「儂は、黒神の件は引き受けてもいいと思うぞ」


 そこにいたのは、あやかしの総大将ぬらりひょんだった。

 どこからともなく現れ、会う度に姿形が違うそのあやかしは、今日は西洋風の格好をしていた。三十半ばくらいの青年姿で、銀色の髪を緩く結い、白シャツにサスペンダーで黒パンツを吊っている。人形のように整った顔はどこか冷たい雰囲気を持っているが、ぬらりひょんの持つのほほんとした空気のせいで、やけに愛嬌がある。


「ぬらりひょん、今日の格好滅茶苦茶いいですね……」

「じゃろう? 儂も気に入っておる」

「サスペンダーを開発した人に祈りを捧げたくなりました」

「一体なんの話をしているんだ、なんの」


 水明の呆れた声を尻目に、ぬらりひょんは私が持っていた本……太宰治の『津軽』を取って眺めた。


「目の付け所もなかなかよい。実は、儂にも黒神をなんとかしてくれと嘆願がいくつか上がってきていてな。誰ぞ解決してくれんかのうと思っていたところじゃ」


 ぬらりひょんは私に本を返すと、ニッコリ笑った。ポケットから小さな海月を一匹取り出して、私の手の中に押しつける。


「お守り代わりにこれをやろう。これで過保護過ぎる守護者もちっとは安心じゃろ?」

「……なにを企んでいる。ぬらりひょん」

「なにも。儂だって夏織を危険な目には遭わせたくないんじゃ。だがなあ……」


 ぬらりひょんはこてんと首を傾げると、銀色の瞳をすうと細めてじっと水明を見つめた。


「どうも、今は(、、)幽世に夏織がいない方が都合いい気がしてな」

「…………」

「青森辺りで、のんびり観光でもしてくればよいと思うのじゃ。水明、どう思う?」


 水明は眉を顰めると、ひとつ息を吐いて頷いた。


「…………わかった」

「おお! 話が早くて助かる!」


 ぬらりひょんはパッと明るい表情になると、どこか弾んだ足取りで私たちに背を向けた。


「そうじゃ、大量の酒が必要になるじゃろうから費用は儂が持とう。小遣いも出そうかの。ふんふん、なんぞ事態が動いてきたわい! 楽しくなってきたのう!」


 そして軽い足取りで東雲さんの部屋の入り口に立つと、顔だけをこちらに向けて、にんまりと悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「ところでお主ら、いつまで抱き合っておるのじゃ?」

「「……っ!」」


 真っ赤になって勢いよく体を離した私たちに、ぬらりひょんは更に笑みを深める。


「フフフ、東雲には内緒にしておいてやろう。アレも娘が大好きだからのう。泣いて使い物にならなくなると困る。じゃあ、儂は行くかの。これ、唐糸御前。黒神の件、引き受けてもいいそうじゃぞ。諸々手配を頼む!」


 颯爽と部屋を出て行くぬらりひょんを見送って、私たちはそろそろと視線を交わす。

そして同時に顔を逸らすと、しどろもどろになって言った。


「だ、抱きついちゃってごめん。えっと、今回の件もよろしく……」

「し、仕方ないな。お前は俺が守ると決めたからな。つっ……付き合ってやる」

「ありがと」

「構わない」

「「…………」」


 そのままふたり黙り込む。


 私は激しく鼓動している胸を手で押さえると、なにはともあれ頑張ろうと気合いを入れた。そうでもして気を紛らわせないと、益々胸が高鳴って、その音が隣にいる水明にバレてしまうかも知れないと思ったからだ。

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