第3話 出発
「武器はこれでいいかな」
呟きながら私は、懐に4本のナイフをしまう。弓矢は弦が切れていたので物欲しそうに見ていたシルフにあげた。
「シルフ、泉から王国までどれくらいかかるか教えてくれないか?」
私が問いかけると、シルフはすぐに詳しく答えてくれた。
「人が歩くとしたらだいたい半日くらいだから今すぐに出発すれば昼頃には着くと思うわ、でも君は契約者の恩恵が働いてくれるから朝方には着くんじゃないかしら」
私はどういった形で恩恵を受けることになるのか気になったが、今は準備を優先することにした。
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準備は手際よく進み、三十分程で完了した。
武器は懐にある四本のナイフとあらかじめ、自身が身につけていたベルトポーチに予備として一本の短刀と鉄拳を入れておいた。
牛のなめし革を扱った少し大きめの袋には木の実とランタンを入れて縄で腰に縛り付けた。また、水袋にはシルフから教えて貰って近くの川から水を汲んできた。
「さて、そろそろ出発するかな」
私がつぶやくと、シルフがゆらゆらと飛んできた。
「もう行くのねー、心配は入らないと思うけど気をつけてね……」
今まで寝ていたのだろう、私を通り過ぎて後ろの木にに話しかけたかと思ったら、すでに可愛らしい寝息をたてている。
私はあえて、そこには触れずに独り言を言う
「あぁ。行ってくるよ、私の人生の再出発なんだ、せいぜい死なないように頑張るさ」
あまり長居すると王国にたどり着くのが遅くなりそうなので、私はそのまま振り返らずに泉を後にした。