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精霊の使い  作者: 西瓜
3/13

第1話 契約

気がつくと、また泉の前で倒れていた。


視界には薄緑色の月が映っていて、周囲から吹き付ける風も肌で感じ取れる。

どうやら五感は戻っているようだ。


身体を起こして辺りを見渡すと少し離れた場所から精霊がこちらへふわふわと近寄ってきた。


「おっ!起きたんだねー?身体の方は大丈夫かい?」


精霊は自分から発せられている風を弱め、心配そうに訊いてきた。


「ああ……。助けてもらったのかな、おかげで助かったよ」


「ならばよろしい! あたしはシルフ、さっきも言ったけど風の精霊よ。よろしくね契約者さん」


どこか誇らしげに意気揚々と離すシルフ


「契約……? いったい何のことだ……? 私が気を失っている間に何をしたんだ!」


「言葉通りよ〜、あのままだと君は暴れ出しそうだったし、少し強引だけど君の魂とあたしの核で契約をして呪いを封じ込めたのよ」


「呪い……!? だが呪いは泉で……?」

少しの沈黙の後にシルフは口を開いた。


「この呪いは特殊で生きているの、引き剥がされる直前に貴方の血と魂に卵を植え付けたみたいね」


「卵」


その単語を聞いただけで身体のあちこちが疼いているように感じた。


「まぁ、魂まで植え付けられているのは予想外だったわね…このままだとあたしまで侵食されかねないし」


シルフはしてやられたというような様子で不満そうに話す。


「契約てのはどういった内容なんだ?」


私が契約について聞くとシルフの表情は一変してまた、意気揚々と話し始める。


「そう! そこで契約を利用するわけなのよ〜 君とあたしは契約によって、もはや一心同体! 家族と言っても過言じゃないくらいの大事な関係になったわけなのよ! そもそも君は精霊の力は何から得られているか知ってる? 」


シルフが問いかけてくるが、私が答える暇も与えずシルフは自慢げに語り続ける。


「あたし達、精霊は基本この泉のような社で魔力を得ているの、でもそれだけじゃ供給不足になった時があってね……その時は契約した人を通して人々からエネルギーを貰うの」


「人々から……てのはどうやってもらうんだ?」


「契約者が人々の願いを叶えることで信仰が強まるのよ、信仰は精霊にとって大事なものだからねね。後は……あまり好まないけど人以外にも生き物を殺すことで生命力を奪い取ることもできるわ」


「私にそんな力があるとは思わないが……」


「謙遜しちゃって〜、君はあたしと契約しているんだからその効果で大体のことは知っているんだよ? 良い機会だしさ、ここらへんで自己紹介でもしちゃう?」


突然、始まりそうな自己紹介。

別に嫌という訳では無いが私には──


「あ、君確か名前がないのよね」


そう、私には名前がない。

それを知っているということは契約の効果も本当なのだろう。


「あたしの名前から取ってシルフィと名乗りなさいよ、後は……そうね前の契約者の名前を借りてルフェールてどう? シルフィ=ルフェール!」


「シルフィ」


精霊の名を貰うだなんて恐れ多いことだが可愛いらしい名だ ……うん。いい。


「精霊様に名付けて貰えるなんて光栄だよ、ありがたくその名を頂こう。」


ここに2人の契約は結ばれ、深夜の自己紹介が始まるのだった。

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