逃亡と攻防
爆発した。とはいってもそこまで範囲は広くは無い。せいぜい半径5mほどだろう。もちろん、爆発は爆発だ、
しっかりと地形に傷跡を残してはいる。しかし、爆煙が晴れてみるとあら不思議、
そこにいた人は跡形も無かった。爆発で消し飛んだとも考えられるが、その線はなさそうだ。なぜなら、
そこにいたはずの人間は、爆発地のすぐ近くの木の上で座り込んでいるからである。爆発の瞬間飛んだのだろうか。凄まじい反射神経と運動能力である。
「・・・は?」
「・・・危ない、もうこんなに接近されてた・・・。」
「いや、どういうことだよ!なんもわかんねぇよ!」
叫ぶ木霊と冷静なカイ。まるで氷と炎の様である。そして、その二人を遠くより見つめる影が二つ。
「おぉっとぉ、かわされちまいましたか。」
「だからもっと慎重にと言ったんだ。仕方ない、こちらの位置もそろそろ割れる頃だろう。」
「接近戦ですかい?」
軽い口調の男は紫のつなぎ、それに対してもう一方の堅い印象の男は黒のスーツで身を固めている。
こちらもこちらで対照的な二人だ。
そして、ところ戻って木霊とカイ。なにやら動き始めていた。
「・・・説明は後・・・。今はとりあえず逃げるよ・・・。」
「いや、こういう場面って逃亡成功率ほぼ無いよな・・・。」
走っていた。元々走り続けていた木霊にしてみたら地獄の所業のはずだが、どうやら走らせている方には
容赦がないようだ。しかし、木霊の言葉通り、この二人の逃亡は封じられることとなる。
「はーいはい、ちょっとそこのお二人さん、止まってくれんかね?」
「っ!・・・、早いな・・・。」
「え、あれ敵?」
紫のつなぎが立っていた。もちろん、先ほどの二人組の片割れだろう。二人が走っていた場所の、すぐそばに
立っていた。
「・・・もう一人はどうしたの?」
「おぉっとぉ、ばれてましたぁ?ははは、なに、簡単な事ですよ、あんた処分すんの、俺一人で十分、
そういうことでさぁ。」
「なめられたものだね・・・、まぁ、いいさ・・・。」
「・・・えとぉ、どういう状況?」
「んん?そういや、あんたは知らん顔ですねぇ。なんか変なやつっすねぇ。」
ちなみに、今現在木霊は自らの高校の制服を着用しており、カイは黒のパーカーに茶色のジーンズという、
かなり現代的な格好をしている。ともあれ、今、戦闘らしきものが始まろうとしているのは間違いない。
「まぁいいや。とりあえず、俺はあんたを処分できれば、それでいい。」
「こちらとしても同じ所存だよ・・・。」
「いきますぜ?」
「・・・きませい、的な。」
この瞬間、戦闘が始まった。そして、爆発した。
時系列によって違う挨拶。はい、どうもよろしくお願いします。島々と申します。
第三話でございますよ、もともとそこまで根気のある方ではないので、三日坊主ならぬ三話坊主にはならぬよう、これからも頑張っていきたいと思います。以後よろしくお願いしました。