ホワイトデーでも大騒動
バレンタインネタに引き続きホワイトデーネタです!
今回もノリと勢いのみで書きましたので、時系列やキャラの性格、文体がおかしいのは気にしないでください。
えっ? いつもの事だろ? いいんです! 細けぇ事は……。
「ホワイトデーはどんな企画にしようかな?」
「去年から始めたほわいとでーですよね? ばれんたいんでーに女性からチョコをもらった男性が、なにかお返しをする日にされてましたよね?」
亮二が机の上に色々なアイテムを並べながら呟いていると、カレナリエンが話しかけてきた。ただ、その視線は亮二に向いておらず、机の上に置かれた見た事もないアイテムに注がれていた。
「ん? やっぱり気になる?」
「当然です。リョージ様が使われるアイテムは魔道具でなくても、不思議な道具が多いですから」
カレナリエンが四角のアイテム手に取りボタンを押すと、突然箱が輝き始めた。
「きゃ! な、なんですかこれ?」
「はっはっは。大丈夫だよ。カレナリエン。爆発はしないから安心してくれて良いよ。これはランタンだよ」
慌てて手を離した道具を床に取り落とし、青ざめながら聞いてきたカレナリエンに亮二は笑いながら説明を始める。
「ライナルトと共同で開発したんだよ。冒険者向けのアイテムで、キノコのお化けの魔石でも一〇時間は保つかな?」
「じゅ、一〇時間? 私の精霊魔法でも五時間くらいしか保たないのに……」
呆然としているカレナリエンを尻目に、亮二は次々と説明を始める。
「まだ、量産体制が確立されてないから高級品だけど、最終目標はランクの低い冒険者が持てるようにしたい。後はアウレリオに相談だな。他にもインク壷なしで書けるペンだろ。これは書いた後に消せるペン、それと筆先が毛で出来ており、大きさが調整できるペンだ!」
「な、なにかペンばかりを紹介されているような気がしますが……」
「紙の量産体制は整ったから、ホワイトデーに手紙を送る習慣を根付かせようと思ってね」
亮二は軽く笑いながら、他にも机に置いてある道具の説明を続けるのだった。
◇□◇□◇□
「おい! リョージ! 今度はなにやった!」
亮二がイベント会場で後片づけをしていると、マルコが血相を変えて怒鳴り込んできた。亮二はキョトンとした顔をしつつ確認する。
「えっ? なにが? 今日はホワイトデーだからイベントをしただけじゃん! なんで、そんなに血相を変えてるの? あっ! ひょっとして無料の紙のハリセン配布をした事? あれ物凄く好評で……。痛ぃ!」
「それだよ! 久しぶりに王都に来たら子供達がハリセンを持って走り回ってるじゃねえかよ! 一万歩譲って、それはよしとしよう! だが、『俺、マルコ役な! お前がリョージだ!』『嫌だよ! 俺もツッコミの役やりたい!』と、ハシャいでたのはなぜだ?」
一気に言い切って息を切らしているマルコに、亮二はストレージから自家製の果実水を取り出して手渡しつつ、爽やかな笑顔で応えた。
「なぜって? 俺が作った紙芝居がベストセラーだからだよ! 汗握る……。痛ぃ! なんだよ! まだ……。痛ぃ! ちょっ! 痛ぃ! 痛ぃ!」
「なんで紙芝居なんてを作ってるんだよ! 後世に残ったらどうしてくれるんだ!」
ハリセンで叩きながら叫んでいるマルコに、様子を眺めていたカレナリエンがフォローを入れる。
「大丈夫よ。マルコが心配しなくても、すでに王宮から三〇〇〇部の注文が入っているわ! 紙芝居の作成はカルカーノ商会の独占だから、アウレリオがもの凄く喜んでい……。痛ぃ! なにするのよ! 冒険者仲間に酷いじゃない!」
「なんで大量生産を許可した!」
マルコのツッコミに抗議の声を上げているカレナリエンに問いかけると、キョトンとした顔で返事がきた。
「えっ? だって、名誉を求めるのが貴族だし、冒険者もそうでしょ?」
「ああ! そうだよ! だけどハリセンの使い手として有名になりたい訳じゃねえ! なんでお前もリョージに毒されているんだよ!」
カレナリエンの言葉にマルコは地面を蹴りつけながら抗議する。その様子を眺めていた亮二がマルコの肩を叩いて慰めた。
「あまり気にするなよマルコ。過ぎ去ったものは返ってこな……。痛ぃ!」
「誰のせいだと思っているんだよ! 完全にお前が悪いじゃねえか! 責任とれよ! 今すぐ全てを回収してこい!」
「「「おぉ!」」」「あれがマルコ卿のツッコミか!」「さすがは数少ないミスリルのハリセンの使い手」「新しい流派を立ち上げられたとか?」
「なんと! 入門の仕方を確認しないと! 教主! 我々に入門の仕方を……。痛ぃ!」
「誰が教主だよ! 流派を立ち上げた事もないし、募集もしてねぇ!」
「「「うぉぉぉぉぉ!」」」
マルコのツッコミを近くで見ていた集団が大歓声をあげた。その中で勇気を出してマルコに話しかけた男性にツッコミが入ると、集団からは絶叫に近い大歓声が再び巻き起こるのだった。
ちなみに、この集団はイオルス教の信徒達であり、将来を有望視されている枢機卿候補でもあった。彼らが枢機卿への就任時挨拶で、マルコからツッコミを受けた逸話を熱く語り、それを聞いたマルコが悶絶するのは別のお話。
◇□◇□◇□
「それで、貴族や裕福層にはどのような物を考えているのですか?」
「おぉ。やる気だね。アウレリオさん」
「当然です。やっと! やっと地獄の領地経営から手を引いて、カルカーノ商会に戻ってきたのです。これからは商売に専念しますよ! 大体、領地経営をしているから自分の商品が選べないなんて、意味が分からない!」
熱く語るアウレリオに、さすがに申し訳ないと思った亮二はペンと紙の販売をカルカーノ商会に任せた。
ホワイトデーの話と絡めたアイデアまでもらって大喜びで商会に戻ったアウレリオだったが、話を聞きつけた王宮から大量な受注数と納期を聞いて青ざめるのを通り越して顔面蒼白になるのだった。




