ソフィアはいつも一所懸命
バレンタインネタを書きたかったんです!
ノリと勢いのみで書きましたので、時系列やキャラの性格、文体がおかしいのは気にしないでください。
えっ? いつもの事だろ? いいんです! 細けぇ事は……。
「今年も、リョージ様にちょこれーとを渡しますか?」
王都でスイーツの食材探しに来ていたソフィアに、秘書の女性が話し掛ける。問い掛けられた内容が理解できていないのか、一瞬首を傾げたソフィアだったが、秘書の含み笑いをした視線でバレンタインが近い事を思い出すと、顔中が真っ赤になった。
「にゃ! にゃにをいってるんでしゅか! リョージ様が広めたばれんたいんは、好きな女性が男性にちょこれーとを送る習慣ですよ! わ、わ、わ、私が送る訳ないじゃないですか! 去年は状況が分かってなかったから間違って渡しただけです!」
「では、今年は渡さないのですか? 私は主人に渡しますよ」
顔どころか、全身を真っ赤にさせながら自分をポカポカと叩いてくるソフィアを、実の妹を見るような温かい視線で眺めながら耳元で囁く。
「でも、渡したいんですよね? そう言えば、新作のちょこれーとを、リョージ様に試食してもらう話がありましたが、断りましょうか?」
「にゃ! やります! し、新作を試食してもらうなら、仕方ないですよね! でも、今回のは完全新作なのでリョージ様に試食してもう前に、誰かに試食をしてもらった方が良いですよね?」
秘書からの提案に嬉しそうに頷きながら、新作のイメージを固めていくソフィア。そして、亮二の前に試食する人員選抜に秘書が提案を行う。
「それだったら、ソフィア様親衛隊にプレゼントしては?」
「ソフィア親衛隊? なんですそれ? ふふふ。私に親衛隊なんていませんよ?」
「ふふふ。そうですね。この話は、研究所に戻ってからしましょうか?」
小さく笑いながら首を傾げているソフィアに、秘書は少しだけ人の悪い顔を浮かべると、研究所に戻るのだった。
◇□◇□◇□
「昼食の後に広間に集まるように」と、男性職員達に秘書から声が掛った。集合の理由を告げられていない一同は、何ごとかと近くに居る者と話し合っていた。
「秘書さんに『急に集まれ』と言われたけど、なにかあったのか?」
「男性だけを集めたみたいだな。理由があるのか?」
「まさか! ソフィア所長が嫁入り……」
「「「ふざけるな!」」」
一人がソフィアの結婚話をしようとした瞬間に、残りの一同から怒りに満ちたツッコミが入る。彼らは秘書が集めた優秀な人材であり、そして固い絆で結ばれていた。そんな彼らを壇上から眺めつつ、秘書が声を掛ける。
「静かに! では、これより所長から発表があります」
「はわわ!」
一喝され、静かになったのを確認した秘書が、ソフィアに声を掛ける。勢いよく舞台袖から登場しようとしたソフィアだったが、なにもない所で躓くと秘書にぶつかった。
「ご、ごめんなさい」
「いいのですよ。ソフィア様。それでは発表をお願いしますね」
秘書にぶつかって、羞恥で真っ赤な顔になっているソフィアを見て、男性職員の顔がほっこりとした顔になる。そう! 彼らこそが研究所の有能な職員であり、ソフィア親衛隊の隊員達であった。
「おい。相変わらず天使だぞ」
「知ってる。たまに見せるドジなところも良いよな」
「リョージ様が『ソフィアはドジッコ属性を持ってるな』と言っているのを聞いた事がある」
「「「よし! 今日からソフィア様はドジッコ属性の持ち主に認定だ」」」
ひそひそと話している男性職員を、壇上から眺めるソフィア。彼女の眼には、ドジをした事を笑われているように見えた。
(ここは、所長として威厳を見せないと馬鹿にされます! よし!)
「みなさん! 静かにしてくだしゃい! あっ。噛んじゃった……」
「大丈夫です! ソフィア様! 静かにします! なあ! お前達!」
「「「はい! 静かにします! ソフィア様!」」」
威厳を見せるどころが、噛んだ上に涙目になっているソフィアに、男性職員達が慌ててフォローする。一瞬で静かになったのを確認したソフィアは、小さく咳払いをすると話し始めた。
「私の話を聞いて下さい。今日、集まってもらったのは他でもありません。新しいすいーつの試食に付き合ってもらいたのです」
「「「なっ!」」」
ソフィアの発言が男性職員に爆弾として投下された。
「おい。確か、お前は明日から出張だったよな?」
「そんな訳ないだろ! お前こそ明日休みだろ!」
「ふざけるな! 俺が休むわけないだろ! 今日から一週間は休まずに働くぞ!」
お互いを牽制するように喋り出した男性職員に、ソフィアが困惑した表情になる。
「あれ? もの凄く押しつけ合ってる? 私と一緒に仕事をするのが嫌なのかな?」
「「「それはないです!」」」
思わず呟いたソフィアに、男性職員一同から返事があった。綺麗にそろった返事にソフィアは嬉しそうにすると、小さく握り拳を作ると大きな声で鼓舞する。
「皆さんのやる気が出て嬉しいです! みんなで頑張りましょうね!」
「「「おぉ!」」」
ソフィアの声に男性職員から野太い声が上がる。その様子を見ながら秘書はニヤリと笑うと小さく呟いた。
「計画通り」
その後、ソフィアは次々と新作を作っていき、それに負けないように男性職員達も働いた。ソフィアの新作は親衛隊のご褒美として消費されていき、亮二の元に試食依頼が来た時には五〇種類に及んでいた。
「えっ? これ全部食べろって?」
「はい! 皆さんと頑張って作ったんですよ! け、け、け、決して、ばれんたいんのちょこじゃないですから! 勘違いしにゃいで下さい!」
山のように積まれた新作スイーツに、亮二は顔を引きつらせながらも全て試食するのだった。その後、ソフィアが開発し、男性職員達が材料調達の販路や大量生産を確立した新作チョコレートスイーツは、王都だけでなくセーフィリア全土に広がっていき、バレンタインだけでなく、普段食べるスイーツとして浸透していくのだった。




