チクタク
少し進んではロープを切り布を束ねてまた進む、これの逆をやっていたのは何時の事だったか、何度思ったかは不明だがこんな薄い隙間だらけの壁で安心とか思っているよな、そりゃあ無いよりはずっと良いのだが頼りないな。
せめて木か何かでと考えるが1年で足りるかね、範囲にも左右されるだろうが開拓した拠点の外周でも数ヶ月かね、しかも高さは出ないだろうから乗り越えようと思えば簡単だし間違いなく容易くぶち破る事は可能だろう。
イメージだけだが俺がタックルするだけでも簡単に壊れそうなのにゴリラや熊ならば朝飯前だな。せめて土壁か漆喰レベルの強度が欲しい、コンクリか鉄の壁ならば万全だな、鋼鉄の壁とか絶対に無理だが。
ロープとか切りつつ少しずつ少しずつ、時計の針が進むようにチクタクとチクタクと進むように範囲が広がっていく、今回は安全がではなく危険が広がっていくのだが少しずつ終わりもハッキリと見えてくる、気付けば一里から一町一間一寸で合ってたか? まぁ五里霧中ではないのは確かだ、もはや霧も晴れたと言って過言ではない。
半分を少し越えた辺りで昼飯を挟んで休息してまた続きだがなんとか今日で布壁は終わるかね、後はもうシェルターくらいか、何かが抜け落ちていても対応は可能だろうが対応できて一つ二つかね、三つがギリで四つとなるとサイズによるが厳しいな、まぁ俺が抜けているとしても流石に三つも四つも忘れているってのは無いと思う。
随分と進んではいるが代わりが無いように思えるのは森だから視界が開けないというのも大きいのかね。
もう少し開拓すると広く感じるのだろうが必要性が無かったからな、拠点としては十分に拓いたし警戒網に関しては邪魔にならない程度で事足りたしな。
間違いなく森を歩くのにも慣れていたというのも強いだろう、裏山のようなある程度整備されたのを遊び場にしていたのに加えて半年以上も手の入っていない森を歩いていた、ちょっとやそっとの茂みや枝は気にならなくなっている。
残念ながら少し及ばない程度で時間切れか、明日は完全休暇にしたかったがどうやらそうも言っていられないらしい。
別に完全休暇でも間に合わないとかは無いが僅かな残りのためにここまで来るのが面倒だ、どうせ1時間と必要にならないし片付けてその上で休暇だな。
少々疲れは残すかもだが後はシェルターだけで生えている木を柱の一本にしているし屋根は既に解体している、片付けるのに時間は掛からない残り日数で何をどうしても片付かないというのは起こり得ない。
夕方の漁を済ませて夕飯だ、今日も今日とて魚とタコと貝か、それにご飯にツルムラサキ、代わり映えは少しだけか、まぁ贅沢ばかり言っても仕方がない。




