嗜好品の準備
拠点に戻り、タンポポの根を細く細かく刻む、なんかゴボウのササガキ作ってる感じだ、土鍋に張った水に投入している辺りが特に。
五本分ともなれば流石に全てが水に浸かるとは行かないため、一度中身を取り出し水を入れ替えて改めてのアク抜きを済ましてしまう、後は乾燥させて焙煎し煮出せばタンポポコーヒーが飲める。
日常的に飲んでいたが、コーヒーに非常に近い風味があり、けっこう美味しく飲める、カフェインが入ってないから徹夜の時には向かないが、昼過ぎのティーブレイクとかには調度良く、祖母が生きていた頃には御相伴に預かった物だ。
作った事は一度も無いが、作っているのは何度か見てきた、祖母の場合は網でできた篭に入れて軒先に吊るして乾燥させていたが、ここにそんな物はないからな、とりあえず拾った網や布をサバイバルキットの縫い針と拾った釣糸で縫い合わせてハンモック状で吊るすしかないだろう。
さてそろそろ焚き付けの上下を入れ替えて回る事にしようか、幸いにして今日は快晴かつ風もけっこう吹いている、表面くらいは乾くだろうし、表面が乾いているならやり方しだいでは火を着けるのも可能な筈だ。
地面に置かれた枝を一つ一つ丁寧にひっくり返して回り、若干の腰痛にうんざりしつつ、次の作業を考える。
薪運びが無理で漁にも早い、やる事は特に無しと来れば予定を早めてルート開拓を敢行するしかないだろう。
本拠地から旧拠点に続く道は全く問題が無いとは言わないが多少の手入れで竹を運び込めるようにはなる、具体的には丁字路部分の道幅を拡げるとかだな。
流石に周囲全ての木を斬り倒すのは厳しいし、縦列駐車宜しく切り返しができるくらいのスペースを確保出来れば良い。
車と違い竹は縦もあり、すなわち三次元的な切り返しが可能となる、何より細いため枝と枝の間に入れ込んでの切り返しなんかも可能であり、そこまでのスペースは必要ではない、極端に言えば体と腕をある程度動かせればなんとかなる。
うん、これ以上切り開く必要ないな、森の中の方に力を入れよう。
旧拠点までは問題はない、旧拠点の中はすでに広いスペースが確保できている、そこから丘に向かうルートがけっこうな七曲がり具合である。
まぁ急カーブはないが、多少蛇行はしている、この辺りの木は細い、切り倒すのも大した手間出はないし斬り倒して転がして放置、薪が少なくなったら小分けにして追加という流れで良いだろう。




