単純
完全に疲れを流すのは流石に無理だがサッパリはした、かなり体は軽く腰も静かにだ、うるさかったのがあっという間にだマジで現金な体だな。
もっと複雑怪奇な代物だと思ってはいたのだが思いの外単純らしい、頭脳の方はカオス思考で複雑怪奇な気もするがしかし単純なのかもだ、二律背反は人間の常だと思うがどうにもな。
ある種の矛盾がソコに確かに存在する、だがそれを証明はできそうにない、と言うか面倒でしたくない、自分が単純だろうと神経質だろうと動いて生きているならばそれで良しとした方が何かと楽だろう。
のんびり焚き火ポイントに向かうがが墨巣さんの手に有る魚には極力見たくはないが嫌でも目に入る、あの竿と餌で釣ってしまったかこの娘は、銛といい俺には全くない才能が有るらしいがそれを喜べないみみっちさが嫌になる、嫉妬をするにしても下らなすぎる。
しかし凄いな、どうやったのか聞きたいが釣ったとしか言いようも無いか、瞬間を見れなかったのが残念でならないのも確かだ、嫉妬するのか羨むのか尊敬するのか我ながら忙しい、もしかしたら俺も粘れば釣れたかもだが今は気が急いてしまうから釣りは向かない。
落ち着いて腰を据えてと言うのはサバイバルだとどうにもな、何時だって焦りは有る、結果論と言うか経過の果てとして釣りとの相性が最悪なのだろう、その点墨巣さんは切り替えが良いと言うか落ち着くべきところで落ち着けるから向くのかね、銛にしても焦りを気取られて逃がしているのかもだ。
もう一度やってみるのも良いがそれでダメならと思うと恐ろしくて手が出ない、解りきっているとは言え才能なんぞ欠片もないと突き付けられるのはな、向き合う必要のない事実からは目を背けて逃避しても良いんじゃ無いかと思うし何より釣りはともかく銛はその道に行かないなら無駄スキルだろう、せいぜいが今後の人生で運悪くサバイバルにとかだ、そんな状況は来ない方が良いし確率的にどのくらいかは不明だが少なくとも俺がその目を引く事はほぼ無い。
普通の奴でもその目を引くのは好き好んで行くを除くなら億分の一より下だな、墨巣さんみたいなパターンにしてもおそらく数年に一度有るか無いかだ、人口で割れば間違いなくレアケースでそこに俺を掛け算すると天文学的な数値分の一だな。
サバイバルしてた奴の所に別の遭難者が現れる可能性か、サイコロを10個くらい適当に投げて全ての目が一でなおかつ配置が星座か何かになる確率みたいな、どんな計算すりゃ良いんだと頭抱えそうな難問だな、もしくは適当に投げた石が落ちた位置を掘って油田が出る確率とか、それも油田なんてほとんど無いような土地でだ。ありえなくはないと言うだけで机上の空論と言うか出資を求めても鼻で笑われて終わる。




