全てが難物
さて馬頭三つか、難物だな、とりあえず腰が悲鳴をあげる前に片付けて定期報告までに温泉で最後の休息が取れたなら上々だな。
これ以降の予定は不明だがしかし一手ずつ確実にだ、ミスは起こるだろうが最小限に抑えないとここからのリカバリーはかなり厳しい、日数的にもう余裕は無いに近い、小さなミスならなんとかはなるが大きなミスは諦めるしか無いだろう。
既に三月も半ばを越えているしな、ギリギリ遊ぶ余裕は有るが徐々に取れる行動は狭まっている。
少しずつ少しずつ真綿で雁字搦めってのはいい気は全くしないのだが終わりが近付いている確かな証拠だと思えば悪い気もしない、それに動きを止められたとしても辺りを見回すくらいはできるだろう、後はもう打開策をなんとしてでも捻り出せば指先くらいは動かせる筈だ。
糸口さえ見付かれば後はそこから抉じ開けて力業で動けるように持っていけば良いしそれで片付けが必要になるとしても雁字搦めよりは相当にマシだ、損して得取れの精神で挑む場面と言うのは確かに存在するし時間が限られるならば損切りは早めに済まして次に移るのが最適解、それが命に関わるのならば尚更だろう。
現状ではタラレバで最悪の想定でしかないが考えるだけなら容易いからな、思考を巡らせてもしもに備える、手はまぁ勝手に動くと言うか視界に納めてさえ入れば集中せずともなんとかなる、まぁ失敗は増えるから集中した方が良いのは確かだがな。
意識を切り替えて挑むモードだ、他に注意を向ける余裕はないと自分に言い聞かせつつ竹と向き合う、後はもう祈るように真摯に、死地に突入するように大胆に、馬券を買うように慎重にだ、我ながら比較する大胆と慎重の例がアレ過ぎて泣けてきそうだがその辺りは目を瞑ると言うか意識的に無視するとしよう、深く考えると多分戻れなくなりそうだ。
細かく調整しつつ強度とデザインのギリギリを攻めるチキンレース、ミスれば台無しだが上手く行けば目に見えて美しくだ、手を抜いて後悔するより失敗して次に繋げる方が良い、少なくともスキルは高まるしな、可能な限りで挑んでいきたい。
馬頭で難しいのは首の曲線、犬で言うとマズル部分、そして鬣つまるところ全てと言える、どれだけ簡略化するにしても限度が有りかなりデフォルメしても難易度は上位に位置する、他の動物と比べても一線をだろう、毛並みとか表現するとしたら考えたくもない、と言うか毛並みとか表現するには竹は相性が悪い様な気がするし一刀彫りでとなると数十年の研鑽が欲しいな、と言うかナイフで一刀彫りがそもそもかなりのチャレンジと言うか無謀のソレに近いのだが。
無茶無理無謀はこの島の常だから気にはならないのだがかなり毒されてきているな。




