時代錯誤
残念ながら俺のは目標にするには少し足りないような気がする、難しいのは解るし最低限のお手本にはなりそうだが卓越して凄みを感じない、趣味の範疇は越えているし一流に指先を触れてはいても今一歩踏み込めずに数年だからな、間が空いているから仕方がないとは言え足踏みが長い。
少なくとも超一流や一流と比べれば見劣りするのは確かだ、それでも最低限の見本程度にはなると思うし一人前と言える出来だとは思うが上を知るから増長も難しい、誇りは無いつもりで有るがしかし自分より下を見て偉ぶっても上に登れる訳ではないからな、下を見ながら上に登るとか危なすぎる、まぁ見て盗めではないが見て学んで貰えれば上々だな。
しかし見て盗めか、こういう事を言うと必ず時代錯誤だとか言ってくる部外者が居るのだがアレはなんなんだろうか、曰く言葉で伝えられないなら師として能力が無いだけとかなんとか。
そりゃあ素材の扱いとか良し悪し、道具の扱いは言葉で伝えられるだろう、危険かどうかもまた同じくだ、竹を炙る火の温度も調べて教えるのは容易いがしかしどの程度なら曲げられるか、どの程度なら削れるかは数字に出せるかもだがそれを会得するかは別問題だろう。
大量の機器やらスパコンやら使えば数字に出せるかもだがそれを見せられてハイそうですかと再現できるのは機械くらいでそれも素材の良し悪しや癖は毎度異なるから大仰な機材で調べてからになる、火の扱いに関しても温度計持ってくるより炭の具合を目で見て体感した方が早い、アレか奴らは機械産業の回し者か、ならば納得だ。
物凄い勢いで墨巣さんがしょげているのだが悪い事をしたか? いやしかし事実を告げない事にはどうしようもないし危ないから作って貰う訳にはいかないのも変えようが無い、そりゃあポーン地獄は嫌だがしかし他にやる事は無いんだよな、残りざっと3週間を暇で過ごすよりは幾分かマシだろう。
僅か数時間でさえ何もしないってのが苦痛になりつつ有るんだ、世のサラリーマンからしたら喉から手が出るくらいに欲する時間でも今の俺からしたらゴミのような存在だ。
数年後にはこの時間が欲しいと願うのかね、惰眠を貪りひたすら休める時間、暇が欲しくて欲しくて仕方がなくなるのかね? ちょっと想像が難しいが卒論提出日間近の頃を考えてあの二倍くらいならギリギリ許容範囲かね、俺の場合はそこまでヤバく無かったからな、まぁ準備しっかりしてたし忙しかったのはアーカイブの出力と比較だったし。




