喉越し
やはり風呂上がりに水と焚き火ってのはどうにもな、焚き火はともかく水じゃなくてビールが欲しい、せめて炭酸水とかならな、喉ごしと言うか爽快感が欲しくなる、そりゃあ水も悪くはないがもっと上を知っているからな、子供の頃は牛乳とかが最上だったが何時の頃からかビールとかに変わる、まぁ酒が飲めないなら牛乳だろうし牛乳も駄目ならオレンジジュースとかその辺りかね。
ハイボールも良いが風呂の後ならどうしたってビールが勝つ、酒が飲めるならおそらく大抵の奴が風呂の後のビールは最高の一杯に数えるしランキングが有るならばトップスリーは確定だな。
まぁハイボールだと香りが強くなる感じがするからヨード香ヤバイんだがな、慣れた今ではグビグビ行けるが最初の時はストレートや水割りとここまで違うのかと驚いた物だ、それこそ一瞬だけ飲み込むのを躊躇ったが余韻もまた強く拡がるから夏場なんかはヘビロテ、と行きたいが値段が値段だから大抵は初めてアイラに出会った女王に泣きついていた、幸運で多少は稼げるとは言えバイトしつつだと生活費やら必要経費やら差し引いて自由に使えるのは月に数万とかがやっと、それでも恵まれてはいるのだろうが服やら教材やらが重なると一瞬で溶ける、酒に使える金なんぞ月に数千円が良いところでチマチマ貯めて買うしか無かった、まぁ一本買えば数ヵ月は持つからな、むしろアイラを一週するために通ったバーの酒代の方が高く付いたくらいだ。と言うか地味にビールの方が高いんだよな、ケース買いもそこまでお得って感じじゃないし俺の下宿先は基本的に材料持ち寄って飲み会的な使われ方してたから下手に備蓄すると場代と食材代だと赤字になってしまう。
鶴子なぞ不定期に魚を大量に持ち込むから消費のために声かけで一瞬でビール消えるし、二人でちょうどいい量とかなら普通に二人でサシ飲みとかもしたが基本的に奴は釣れるだけ釣ってリリースは小さいのと食えないのくらいだ。
ブリの時とかやばかったな、半日掛けてぶり大根に刺身、フライ、照り焼き、あの時は確か三馬鹿と俺に先輩、さらに先輩のお兄さんの六人でなんとか食い付くしたんだったか、まぁ一部は俺の翌日の昼飯になったが、昼前にチャイムなったと思ったらクーラーケースからブリを出された時の気分は控えめに言って『今すぐ家に帰れ』だ、と言うか実家なら定食屋だしあの頃ならまだ親父さんも怪我してないから店をやっていた、あのサイズでも1日で消えただろうにどうして俺の所に……いや、おそらく実家にも持っていっているな、流石に二尾も三尾もはいらないからと怒られた口だ、あのアホなら後先考えずに持ち帰っても驚かない。
魚ばっかり食べてるのに魚の事を思い出すか、なんの因果だクソッタレ、と言うか小魚基本で磯魚基本だ、回遊魚とかその辺りはほぼ皆無、漁師さんでももう少し種類豊富に食ってるぞ、売り物にならない傷物とかだろうが味に変わりはないし、と言うか調理法が限られないからな、調味料も山と使えるし。
マヨネーズとかケチャップなんて島に来るずっと前だ、帰ったらタルタルソースたっぷりのチキン南蛮食いたい、たぶん目に入ったラーメン屋とか牛丼屋とか、はたまたハンバーガー屋とかの方が早いだろうが落ち着いたら絶対に作る、後はメンチカツかね、個人的に豚カツとかよりメンチカツの方が好きだ、ソースとカラシで千切りキャベツと共にだ。




