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自制

 昨日と変わらず午後は罠か、たったの2日だがもう気分転換がしたくて堪らない、やはり暇ってのは心に来るな、これが慣れない作業ならそんな物を感じる間もないんだが慣れているから片手間でも問題なく、思考がツラツラと巡り巡ってしまう、墨巣さんはと言うと全く進展無しだ、仮に残りの日数で今の分を完成まで持っていけてもフルセットには絶対に届かない、ナイトという壁は絶望的なまでに高いからな、残念ながらこれまでの経験を動員したくらいじゃ足りない。

 俺でも一発成功はかなり運が良かったと言える、おそらく師匠でも一刀彫りとなると六割に届くかどうか、経験一年足らずが挑んでいい題材じゃない、例え天才でも厳しいだろう。


 才能もそうだが経験が物を言う世界だからな、ひたすら鍛練を積んでできる事を増やしていく、何百何千の失敗を良しとしないと完成なんて夢のまた夢、例えそれが竹トンボでも最初なら二桁は失敗するし完成したと思っても真っ直ぐは飛ばない、そしてもう一度完成させるのにやはり二桁は失敗する、勘を掴んだと思っても習得したと言えるのは数回は試行錯誤しないとだ、ひたすら根気、ひたすらチマチマ、ひたすら地味、こんな世界に飛び込むのは相当に好きか知らないかのどちらかだな。

 俺の場合は知らなかった、そして知らないうちに気付けば泥沼だ、後はもうズブズブ沈まないように前に進むしかなくなり引き返すに引き返せず奥の方に入り込み、気付いた時には泥沼だったのが山登り、まるで全くと言って良いくらいに脈絡のない夢のようだな。


 ストックばかり貯まるが減る時は一瞬だ、貯金と散財にも似ているが異なるのは意図せず減るって点だろう、気を付けようが壊れる時は壊れる、質を上げようともそこだけは変わらずだ、永遠に使い続けられる物なんぞ無いし例えアルミとかステンレス製でも数世代で壊れるかガタが出る、竹ならば持って2年かそこらだろう。

 それにシェルター側に住居を移すなら罠を増やさないと食料的に厳しいからな、その分だけストックは用意しないと壊れたら製造までの手間が洒落にならないし拠点を移してからも干場の解体やらに時間を割くだろうからとにもかくにも余裕が欲しい。

一手でも減らすために一手打つつもりでひたすら神経を磨り減らすしかなくこれで酒が存分に有るならばそこに逃避しそうで怖いな、残りが僅かで良かったと言うかなんと言うか、最近は蓋を開けてそのピーティーな香りだけ楽しんで閉めるという割りとヤバめな行動が増えてきているからな、自制しないとだ。


 と言うか香りはピーティーだし口に含んでもピーティーだが余韻やなんかは微妙に違う、アイラ特有のスモーキーさにドッシリとしたピート香、口当たりはあまやかで遠く仄かに潮騒、嫌いな人からしたら信じられないくらい薬臭く不味いのだろうが好む者からしたら変えがたいのがアイラの真骨頂だ、そもそもスコッチを呑むのに煙臭いから不味いとか言う奴は最初からして間違っている、極端に言えば燻製が食えないならスコッチからは遠ざかった方が良いし飲みたいならスモーキーさを押さえた銘柄を調べて呑んだ方がいい。

 先輩は試しで買って一口でアウトだったらしいがアメリカンばかり呑んでるからそりゃあ毛色が違う、と言うかあの人の場合バーボンばかりか、バーボンにジャーキーかカルパス、俺が言うのもなんだが血圧ヤバくなりそうだな。

俺も俺でスコッチにポテチとかカカオマシマシチョコとか希にキンツバとか、酒呑んでる時点でだが不健康極まりない、基本的に夕飯後シャワーとか浴びて夜食みたいな感じでだからな、親父に知れたら怒られそうだ。いや、親父も似たような事やってるか、と言うか俺から見たら暴飲暴食レベルなんだよな、どんぶり飯大盛が基本とか漫画かよと言いたいが朝でも二杯は平らげるし手術が決まっている日などは三杯だ、祖母やお袋曰く病院と言う戦場に挑むためと重箱弁当持って出勤する様はカッコいいのかよくないのか、カッコいいのかね? 帰ったら帰ったでやはりどんぶり三杯だし、医者ってハードワークなのだろうがなんで太らないのかマジで謎だ。

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