暇と熊
夕飯を終えて明日も早い、燻製に罠作りと今日と同じ感じだが基本的に毎日変わらずの方が良かったりする。
具体的にはトラブルはノーセンキューだ、何事もなく済むのが何よりで困った事にトラブルはそこかしにだからな、今日と同じで最高だ、例え暇だと嘆くとしてもトラブルだけはゴメンだ。
暇に押し潰されるのと熊に喰われるの、どちらを選ぶかとか幼稚園児に聞いても前者確定だろう、例え海外だろうともしかしたら宇宙人相手でも比率なら九対一だ、真綿で首を絞められるが如くかもだが死ぬかはその人の気力次第だし死ぬより先に発狂かね、しかもストレスとか発散するなら防げる、対して熊は生息圏に近付かないとかくらいしか対策は無く生息圏に住むしか無いならば銃を持つとかくらいかね。
まぁ無理矢理にでも良いところを探すならマレーグマって点だな、これがヒグマとかグリズリーとかホッキョクグマだったならランチかディナーかブレッグファースト、もしかしたらティータイムかで墨巣さんと仲良く腹の中だ、マレーグマだから大丈夫って事は無いし熊だからな、走るのは早く、爪は鋭く、牙は大きく、鉈やら振り回しても勝てる要素は限りなく少ない、二人で息を合わせてもようやく三割の生存率を出せたなら上々だろう。
せめて銃が有るなら五割まで持っていけると思うが問題は使った事無いから余計に危ないって点だな、間違いなく衝撃に負けるし当たらないが音でビビらせて逃げていけばその時点で勝ちだ。
背骨ゴキゴキならしつつ首もグリグリだ、明日は温泉かね? まだもう少し持ちそうだがタイミングとかにも左右されるしそろそろ動ける限界も近いからな、まぁ引っ越してからも1日くらいはなんとかなる、と言うかシェルターからだと片道だけで朝出発で昼飯時って感じになりそうだな。
最短のルートでシェルターから本拠地までざっと2~30分、そこから温泉まで同じくらい、漁やら片付けやら計算するとおおよそそのくらいになる。
まぁ若干の誤差は有るだろうがおそらく1時間以内に収まる、橋とか階段とか作ったからなこれでも普通に進むより30分は短縮できている。
毎度思うが目覚めのコーヒーとか飲みたいがインスタントも限りが有るからな、タンポポの群生地とかまた見付けたなら根を掘り起こして飲むんだが探しに行く気にもならない、何処かには生えているだろうが熊だけでなくゴリラに鹿にと危険は山ほどだ。
シェルターだとか温泉だとかは生活圏でソレナリに足を運び、彼らも我々の縄張りとある程度気を使うだろうから過信はしないまでもそれより外に比べれば安全と言える、しかしさらに外を探しにとなると知らずに彼らの縄張りに足を踏み入れるかもだ、野山を歩くのは裏山で慣れてはいるし動物の痕跡も覚えが有るが絶対にソレを見付けて警戒できるかと問われればそんなのは一流の猟師でもなければ不可能だろう。




