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兄弟子に習う

 チマチマと編み上げてまた一つだ、またストックが積み上がりだがまだまだ欲しい、そろそろ二桁も近いが残り一月だと微妙だな、壊れでもしないと必要はないが壊れる時は立て続けにだからな。

 余っても使い道なんぞないが持って帰って師匠に見せてみるか? たぶん荒いと言われそうだが解っていてもそこに込められた必然性を見て欲しいという気持ちもある、しかしうん究極的にはゴミだし止めておこう。

採点を求めても仕方がないというのもある、訪ねて行って話をしたり作品を見ては貰うがしかし一人前として師匠に迷惑ばかり掛けるのもな、新境地に至っている一刀彫りならともかく籠なんぞ免許皆伝と言って良い。既に合格点を貰っているのだ、復習ならともかくとして採点を求めるのは迷惑でしかないだろう。


 親離れならぬ師匠離れを心に留め置きつつ思うのは兄弟子達はその辺りをキチンとやっていたなって点だな、それぞれがそれぞれの道を歩いている、一人は師匠と同じく仏像だが師匠の様になんでもではなく仁王や明王を主にし遠足で言った美術館に置かれていた四天王はそれは見事としか言えず恐怖さえ感じた、一人は版木、一人は彫像、一人は神社彫刻、或いは師匠の劣化コピーと揶揄されながらもそれぞれがその道で十二分に評価される木工技師あるいはアーティスト、師匠の引退を撤回させようと苦心はしていたがしかし己が作品を持ち込むのは大抵が俺の目から見ても少し今までと違う何かだった。

 ならば俺もまたそれに習いたい、不肖の弟子ではあるがイッパシを認められている以上は半端はできない、別にその道で食っている訳では全く無いのだがそれでも偉大な師に認められているんだ、少しはカッコつけないと師匠の名を汚す。

既に汚しているかもだが幸いな事に引退後の趣味の弟子だ、評価されなくとも問題はなかったりする、しかし問題無いからと甘えるのは大間違いというものだろう。


 夕方までになんとか五割か、やはり1日で一つと四割前後がやっとかね、割れとかのミスを無くせば六割は見えるがそればっかりは何年修行していても使う竹に左右されるからな、もう少し粘るだろうと曲げて折れたり絶対にここまでなら大丈夫だろうと踏んでも折れたり、かと言って一本一本丁寧に調べていたのでは時間が掛かりすぎるからな、ぶっつけ本番で一気に行く方がミスを込みにしても早い。

 顎で延びた無精髭を撫でつつ目と首を休ませる、毎日剃るのが面倒になって数日伸ばし放題だが似合わないのは解っているからな、無精をするのは仕方がないが伸ばしたいとは思っていない。

清潔さがどうとかではなく似合わないからという理由は我ながらどうかとは思うが先輩に望に鶴子、身近な三人から折り紙付きだ絶望的に似合っていないのだろう。

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