大量の薪
魚を捌き内臓を持ってきた竹筒の中に入れ直していく、新たな餌を入れないと数日で海老やら蟹やらにやられてしまい、罠からただの竹筒にランクダウンする、住処として使う奴もいるだろうが、住処より餌場の方がまだ魚が寄ってくる気がして餌変わりに内臓を容れている。
しかしどちらが正解かは誰にも解らないだろうし、長期的に見ればどちらも慣れられて効果は薄まる。
昼食を終えて磯に向かい罠を設置してから旧拠点まで歩き、そこからは薪を運ぶために本拠地と旧拠点の往復作業になる。
薪を運び込んで所定の位置に積み、そのまま旧拠点にとって返してまた薪を運び込む。
けっこうな重労働で休憩を挟まないとやってられないし、何より無理をするわけにもいかないため中々作業は進まないが、それでも数回は焚き火をできる量を運び込めた。
さて夕食の材料を手に入れるとしようか、できるならまたウナギとか食べたいな、蒲焼き擬きにしかならいがアレは旨かった、思いだすだけで涎が出てきそうなくらいに旨かった。
ホースを使う漁にも馴れたもので一切の無駄なくセッティングを済まして吸い上げ、体感にして二十数分で水を抜いてしまう。
以前の半分とまではいかないまでも三分の一くらいまで時間は圧縮されている、惜しむらくは夕方の漁のため急いだ所でこの後にできる事なんか大して無く、休息時間が増えるだけという一点のみだな。
焚き火で魚を焼いて食べる、幼い頃に映画かなにかで見た覚えのあるワンシーンをまさか自分がやる事になるとは夢ではあっただろうが実現するとは思ってなかっただろうな。
ただやってみた所でどうなんだという感じで、始めの頃には有った感動や感慨も今となっては記憶の奥底に沈み、ただの単純作業もしくは日常的な物としか認識できない。
その事を慣れて技術を習得したと誇ればいいのか、それとも小さな感動を忘れる心を残念がればいいのかは不明だが、一つ確実に言える事が有るとするならどちらにしても誰かと共有する事もなければ自慢する事も愚痴をこぼす事もできないという事だろう。
星を見に行こうかとも思うのだが面倒だし疲れもある、諦めて今日は休むとしようか。
やはり暑いな、本格的な熱帯夜には早いがそれでも寝辛くなってきている、朝方でさえ若干の暖かさを感じる程度には夏に近付いているらしい。
まぁ5月も末だし当たり




