名前
昼飯を終える頃には完成して次だが特に名にも考えて無かったな、山尾昇、海野鶴子、鶴って鳥の横になんだったか、画数多いのは確かだが創作漢字って訳にもいかないしな、日暮望、墨巣麻里、喜一、宗一、健一、楓、奏、人の名前ばかり思い浮かんで仕方がない、と言うか鶴子だけ漢字浮かばないからバレたら殴られるな、けっこうバイオレンスな性格してるし堪忍袋の尾は蜘蛛の糸より細い、性格的に先輩と並ぶくらい取扱注意なんだよな。
割りとピーキーと言うかまぁ慣れれば怒らせる様な事はそうそうないし後を引くようなタイプじゃないから問題はないと言えばない、ふとした事で怒るのは嫌だとかなら話は別だがそれを補って余りある人間的な魅力はある、義理堅いし気っ風も良い、イメージとしては古めかしい江戸っ子に近い感じかね。
少なくとも先輩よりはアクは少なく付き合っていて嗜めるのが面倒ってのを除くなら相当に良い、それに俺だって人の事を言えた義理は無いしな、善悪併せ持って人間だろう。
しかし漢字か、思い付かないな、名前を一周したが特に目ぼしいのは無かったし先輩の名前なんぞイニシャルだろうが彫る気は無いし、いや彫るのは良いがそれを知られた日にはウザイだろうな。
「そんなに私が好きなのかい?」とか言いながら服脱いで性的な意味で襲われる未来しか見えない、そしてこの想像すら甘かったりするんだよな、あの変態に関してその変態性を見くびってはならないってのは僅か数年で俺が脳髄に書き記した事の一つだ。
借りも恩も義理も無ければヤベェ奴として付き従うなんて事なかったのだがな、気付けば負債が洒落にならないくらいに膨れ上がりだ、望も同じパターンで同じ穴の狢となり同類相憐れむでサークル仲間以上の友好を結んだがあの人との付き合いで良かったと思える数多い物の一つだな。
とりあえず意欲作として一字ではなく二字、彫刻と彫る事を決める、画数はともかくとしてスペース的な意味でバランスが難しい、少なくともナイフじゃ二字が限度だな、四字熟語とか孟宗竹の太いので道具揃ってようやくだろう。
物凄く簡単な四字熟語でも今の道具と真竹だと厳しいな、それこそ一一一一とか存在しない熟語でないと無理だ、もう少し慣れたとしても上手くなったとしても限度が有るからな。
ちょっとしたマグ程度が限度の太さだと彫れる文字数や画数は限られるし灯籠だから一部をくり貫いたりで作業面積はさらに狭くなるからな。
いっそ憂鬱とでも掘ってやりたいが漢字が解らない、なんか物凄く画数多いのは確かだが辞書で調べたとしても一画抜け落ちそうだ、そしてそれに気付けるのはごく少数だろう。




