釣られる
漁が済んでもやや曇りか、風が少し有るから肌寒いが極端にではないし雲もドンドン流れていっている、とりあえず現状だと大丈夫そうというのが結論だがボタンでも弾いてみるかね、信用度的にはそろそろまたリバウンドとか考えないとだから微妙だが。
表なら行く、裏なら諦める、どちらが出ても恨みっこ無しで弾いてみれば見事に裏だ、どうやら神様は諦めろと言っているらしい、しかし答えを喜べないのは温泉に行けないからか天気が崩れるかもかどっちだ、どっちにしても残念なのは確かだがグダグダと愚痴っていても仕方がない、雨が降る前にやれだけの事は済ますとしよう。
焼き干しを干場から引き上げたり念のために洗濯物を取り込んだり、まぁ雨が降りそうなら大抵の奴がやりそうな事を先ずは済ませる、灯籠とか彫り出して降ってからだと焼き干しは屋根が有るからある程度無事だし洗濯物も少し濡れる程度だろうが全く濡れないのとでは大違いだからな、洗濯物は百歩譲ってまた干せば良いが焼き干しはカビとか怖い、屋根も完全に防ぐ訳ではないしな。
チマチマと酒の一文字彫りつつバランスチェックしていると雨がポツポツとだ、ほんの数時間だけ耐えただけマシだな。
ほんの数時間だが色々と動けたし、ほんの僅かだが漁すらできないよりは良い、少なくとも飯の確保は出来たしな、前にも有ったとは思うがかなり前な気がする。
しかしどうせなら昼飯終わるまで持ってくれたならありがたいのだがな、それなら温泉とかもギリギリ楽しめただろうに、微妙に噛み合ってない感じが歯がゆいな。
止んだかと思えばまた降ってか今日はもう諦めが着いているから良いが普段だったならヤキモキしてストレスで胃とかが大変な事になっていただろう。
図太い神経で居たいがか細い物しか持ち合わせずだ、編んで太くできれば良いが一本しかない、折って太くするにも短いしって感じだしな、ハートも毛が生えているどころかガラスだろうし真面目によくサバイバルしようとか即決したものだ、ちょっとは悩めよあの日の俺。
即断即決が悪い事とは言わないし切羽詰まってたのも認めるが餌に釣られてホイホイとだ、そりゃあバイクに奨学金に仕事、餌が魅力的だったのは確かだが狸爺相手に迂闊すぎる、条件とかけっこうやり合った記憶が有るが間違いなく島の再調査を条件に入れてなかった、入れてたらスマイリーにびっくりするなんて無かったしそもそもこの島に居なかったか。
いやびっくりはするな、無人島にゴリラとか意味不明すぎて三回くらい聞いてようやく脳が追い付く感じだろう、実際に目の前にして二度見したかは覚えていないが脳ミソが理解及ばずしばらく茫然とはしたと思うし。
普通に生きててゴリラを実際に見る機会なんて動物園に行った時くらいだからな、これが犬とかなら飼われてるのを毎日のように見かけるだろうし猫でも減っているとは言え野良を見る機会もあるが野良ゴリラとか生息地でないと見かけないと言うかもしかしたら生息地でも珍しいかもだ。




