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上陸

 紀伊半島の突端から南に伊豆諸島は鳥島から西に数百キロ地点、太平洋上に浮かぶ無人島、当然ながら港なんて物はなく南側の砂浜の近くギリギリに寄せられた船から荷物を抱えて下り、足を濡らしながら上陸した。

 とりあえず海に入るため濡れないように脱いだジーンズと靴下と靴を履き、濡れない位置にダンボールを下ろして辺りを見回した。


最後の噴火から200年近く、土に砂にチラホラみえる黒い岩石、それに雄大な森、200年もあれば溶岩と火山灰の島も変わるのだと、時間か自然、どちらに感心しようかと思案する内に、後方で鳴り響くエンジン音で、本当に一人のサバイバル生活が始まったと改めて理解した。


 まずは仮拠点の設営と水探しであろう、砂浜より奥、やや森の中、潮の満ち引きに絶対に左右されない位置にテントを張り、荷物をテントの中に置いて必要な物をリュックに詰め直し、身に付ける。

 浄水器にコンパス、斧と鋸、ザイル、水筒、医療キットにサバイバルキットを持ち、森の中ではなく島の外周を軽く探索する、森の中よりは迷わないし場所さえ選べば海岸線は食料の宝庫でもある。


 とりあえず左手法に則り西回りに進む、漂着物に使えそうな物がないか、海岸線から見える森に何かないか、キョロキョロと首を左右に振りつつ前に進む、ここから先は一歩でも踏み間違えたら死が待つ究極の自己責任の世界、経験した事のないサバイバルを、届いて1週間で読み込んだ本の知識を元に歩き続ける。


 ゆっくりと見分しながら1時間、砂浜と黒っぽい岩場の繰り返しに辟易しながらも広い集めたロープやら鍋やら、潮溜まりに取り残された魚やらを手に進み、ようやく細い小川を発見した。

 まだ気水域であろう海岸線を無視し、森に分け入る決心を決め、斧を片手に小川を辿る。


 辿るといっても川沿いを歩く訳ではなく歩きやすそうな場所を選んで位置を見失わないように時折、木々に斧でマーキングしながらではあるのだが、20分程歩いて水源に到着し、浄水器を使って少しずつ水筒に水を容れていく、サバイバルの本によれば最低で数リットルを飲まなければ3日程度で命が危ういらしく本当に買っておいて良かった。

 周囲を観察してみれば、深い森というほどではないしテントを張るくらいはできるだろうと判断し、拠点を移すことを決める、どうせもっと良い条件の水場が見付かるまでの仮拠点だし、入念な整地は必要ないだろう。


 さて最低限の食料として魚が二匹もいるし、改めて状況を把握して予想を立てつつ拠点まで戻ろう。



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