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葛藤

 チマチマと翼を彫り進める、マジで羽毛無くて良かった、例え簡易な物でも刻まれてたら難易度が倍どころじゃ無いくらいに跳ね上がるからな。

 登竜門もビックリなランクアップで鯉が竜どころかそこらの石が竜になるくらいのランクアップだ、岩ならまあ彫って竜に変えられるが石だと職人でも相当に難しい、米粒に般若心経書き込むが如くの細かさだ、ピンセットに虫眼鏡に細い筆に熟練の技、どれが欠けてもなし得ない難事になる。

羽も大きな風切り羽ならまぁ道具有るなら羽毛を彫るのも可能だろうがそれ以外となると道具有ってもやりたくはないな、少なくとも1年か2年の研鑽が無いと届きそうにない。


 一刀彫でとなると5年では足りないかね、10年は欲しいがそれでも届くかどうかだろう、20年貰えればまぁ形にはなるかもだが質は悪い物がなんとか一つかね。

 自分の非才を嘆いても仕方がないがよりにもよっての道に踏み込んだものだ、よりにもよって過酷で面倒で才能が物を言う世界に凡才が飛び込めば楽しむ分には良い、趣味なら言うこと無しだろう、だがガチで心血注ぎ込むには苦難でしかない。

好きで続けるにも苦しい道で才能が有っても険しい道で、俺もなんで進んでるのか解らなくなるが言葉を選ばないなら惰性かね、苦しさも感じ辛くなるくらいに慣れて苦しみを耐え抜くだけの精神性を気付けば獲得し、後は惰性で流れに身を任せ、歩いているのか流されているのか、確実に言えるのはもはや自力でも他力でも抜け出せないって点だな。


 チマチマと羽を彫り進めてとりあえず一つか、幾つダメにしたのか数えればすぐだが数えたくはないな、まだまだストックは有る、どんどん彫っていくとしよう。

 成功が続けばと思いながらもそう簡単に行くはずが無いともう一つの声が断じる、これが竹トンボなら簡単に行くし成功も続くが彫刻だからな、簡単な物でも簡単じゃないという二律背反を余裕で体現してくれる。

簡単に言えば竹にナイフで傷付けて模様描くだけだ、だが言うは安し行うはでそんな簡単な話じゃない、それはそこらの公園で似顔絵描いてる奴にモナリザ描けと言うのと、いや親の似顔絵描いてる幼児に言うのと同じだ、突き詰めれば簡単なのだろうな、しかしそれがどれ程複雑で精緻か、芸術は美と共に難事も併せ持つ、例えキャンバスにペンで一文字描くだけでもこれで良いのかという葛藤が間違いなくそれを描いたアーティストにはある、誰かの真似だと批判されるかもしれない、理解なんぞできないとソッポを向かれるかもしれない、それでも描きたいから描くだけだと言うのはやはり簡単なのだ。

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