守銭奴ならぬ
朝飯を済ませて温泉だ、心なしか足取りだけではなく腰や肩も軽いが我ながら現金な体だな、しかし飴を与えなければ鞭にも耐えられない、どちらも過ぎたるはだからな。
森林浴を楽しめば次は入浴だ、湯気たつ川に浸かり頭や体の汚れを洗い流していく、どうしたって頭も体も脂とかで泡立ちにくいが二度も洗えば汚れも皮脂もキッチリと落とせる。
後は流されないようにしつつ体の芯まで暖め、足腰肩を揉んで疲れも流れに任せてしまう、それだけで肩の動きがスムーズになるのだからやはり現金だな俺の体は。
墨巣さんと交代して用意されていた焚き火で体温を維持しつつノンビリと待たせてもらう。
体がやはりと言うか軽く動きもスムーズでまるで関節に油でも差したかの如くだが機械じゃあるまいし油じゃダメだろうな。
しかし軽いのは確かだ、軋む感じとかないし痛みも全く無いわけではないが緩和されている、暖めたのと温泉の効能かね? 昨日までが嘘のようにだが明日にはほぼ元通りだろう、残念ながら一過性なのは経験してしまっている、多少はマシだろうが数日もするとまた悲鳴と泣き言のオンパレードだ、全くもって嫌になる。
潮騒聞きながら焚き火を前にボーッと座ると言うのはかなり映画のワンシーンっぽく現実味に欠けるがほぼ日常過ぎてなんとも思わない、やって来た頃は必死だったし多少の余裕が有った頃などほぼなく、ロマンに浸る暇もない、そうして気付けば当たり前になりロマンすら感じなくなっている。
マシュマロとか有るならば少しは感じれただろうし様にもなったかもだが無いしな、せいぜいがポケット瓶サイズのウィスキーくらいだ、スキットルに似てはいるがガラス瓶だしな、せめてステンレス辺りなら様にもなるがそもそもロマンに浸ってなんになるだ、追い求めるような状況下にない。
墨巣さんと合流し、焼き干しと燻製の昼飯で腹を誤魔化しつつ拠点に戻る、やはり足取り軽いな、心なしかウキウキだがマジで現金過ぎやしないか? 守銭奴ならぬ守泉奴と化しているような気がしてくるのだが。
拠点に戻って即作業だ、とりあえず目標は完成だがギリギリ間に合わないか間に合うかの瀬戸際だな、微妙に前者が優勢だが頑張って間に合わせたい。
炙って曲げて編んでいくがひたすら地味だな、何処の誰が見ても黙々ととしか形容ができないだろうくらいに黙々とだ、たぶん物凄い国語の先生でも語彙力を尽くしてそのボキャブラリーを全て使って、最後に黙々とって付け加えるくらいには地味で地道な作業なんだよな。




