神の領域
夕飯を終える頃には割れた竹の山を二人して積み上げる、もはや罠にも流用できず捨てるしかないな、燃えにくいから薪代わりにとはいかないしな、まぁ無いよりマシだと細かく裂いて焚き付けにでもするか、でなければ薪代わりだな。
幸いして割った物が爆発するような事は無いからな、乾燥も済んでいるし残った水分で多少は爆ぜる事も有るかもだが料理をする過程で油はねやらには馴れている、少々火の粉が飛んだくらいでは気にもならないし、熱された鍋やフライパンに手が触れるなんてのは一年に一度くらいは経験してしまう、火傷は料理をする人間にとっては付き物で当たり前でしかない、どれだけ気を付けようとも小さい火傷は負うからな。
夕飯は普通に炒めたタコにご飯、アラの潮汁、焼魚と何時もの食卓だ、この食卓も残すところ数カ月、全くもって惜しくないのは飽きた証拠だな、少なくとも戻ってから一週間か二週間は焼魚とは無縁の生活を願いたいが検査とかで入院しないとかもだし肉が食えるとは限らないな、まぁ野菜が頂けるだけ助かるが。
今日も天候はすこぶる付きで良好だな、どうだろう気分転換に温泉ってのは良くないか? 俺はまぁ慣れているからスランプだろうが気にならないが墨巣さんはここらで切り替えないとストレス溜まるだけで負のスパイラルにしかならない、スランプ中に陥るともう最悪とかそういう次元じゃなくなるからな、一度リセットは無理でも少し体と心を休めるだけでかなり違ってくる。
少なくとも体の汚れは流せるしサッパリはするだろう、気疲れとかも流れればなお良しだ、まぁ経験から言うと温泉だろうが風呂だろうが頭からスランプは離れてくれないが変に固まってしまって肉体は疲労しているだろうから全く無意味という訳でもない。
朝の漁と朝飯を済ませてのんびりと森を抜けていく、散歩代わりにもなるし悪くはないのかね、一昔前なら煙草でも吸いながらハードボイルド気取ったかもだが禁煙してからこっち吸いたいとは思わない、ニコチンとタールに染まった体だと思っていたが案外浅かったのかもしくは体質か、このご時世喫煙者は文字通り煙たがられるがどうなんだろうか、生きやすくなったとは思えないのはサバイバルの最中だからかね、まぁ少なくとも喫煙所探す時間は無くなるだろうから少しは時間にゆとりも持てるだろう。
しかし今日もまた寒いな、そろそろ2月だが春は遠いらしい、南の島なんだからそろそろ温かくなっても良いし南風の暖かさに晒されても良いと思うのだがどうやらお天気の神様は相変わらずご機嫌斜めらしい、気候が安定してくれればもう少し過ごしやすくなるし天候が荒れなければ生きやすい、サバイバルで最大の敵ってもしかしてらこの二つなのかもしれないな。
水は知識が有るなら砂漠地帯とかでないなら手に入れるのは難しくないし、食料もやはり知識が有るなら条件次第だが手に入る、住むところも雪山ならカマクラ、森なら枝と葉を利用したシェルター、砂漠なら穴掘って布張っての簡易テントと道具が有るならなんとなる、道具も拾った枝や石ガラス瓶で作れなくはない、本当に何もない、例えば見渡す限りの砂漠で石ころ一つ、水一滴すらなく、真っ裸とかならどうしようもないがそんな状況はそうそうない。
ならばやはり知恵を振り絞ろうが力を合わせようが道具を作ろうがどうにもならない天気は下手な動物なんかより危険だろう、目に見えず、聞こえず、匂わず、そこに有るのに無い、死力を尽くしても改善不能な、対策すら無理な、神に祈るしかない、まるで死神だな。




