表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/1039

到着

「健太、電話はちゃんと持って来とるな?」と祖父が問い掛けてきた

「ちゃんとリュックに入ってるよ、充電も済ました」と答れば

「当たり前だが、充電は1年も持たん、ソーラー充電で多少は賄える機種だが、それでも無駄に電池を消費できんだろう、そこで追加の条件と条件緩和を決めた」とかなり重要そうな事を言い出した。


「まず基本的に電源はオフ、ただし毎月25日の夜10時に定時連絡して充電情報なんかを報告して来い、場合によっては予備の電池を持っていかせる、次にギブアップ以外での連絡だが緊急事態以外での使用を禁じる、また事前に機能制限を掛けとるから家にしか繋がらん、短縮は1番だ、緊急事態はお前の判断に任せるが火山が噴火したとか、近くで船が難破したとか何処かの馬鹿が勝手に住み着いてたとか、熊が出たとか以外では連絡しないように」と僅かに息を切らしながらもハキハキと告げた、年も年なんだから無理すんなよ。


「今回の変更に関する緩和として口効きを7ヶ月からに短縮してやろう」と意図せずに好条件、文句の出ようもない。即座にOKを出し、再び窓の外に夢中になった。


 1時間半程で大阪の空港に到着し、手続きを済ました後、車中の人となる、運転手は祖父の知り合いとかだろう、少なくともタクシーではない、運転手に許可を得て母のお握りを食べる、中身は昆布か、個人的にはツナマヨが良かったんだが文句は言えないだろう。

 高速を使い数十分でビジネス街に到着し、祖父は声すら掛けずにイソイソとスーツケース片手にビルに入っていく、どうにも切羽詰まっているらしい、キナ臭さの核心を車の中で見ていた相場から嗅ぎ取ったのだろう、祖父の事だし危機と言うほどではないのだろうが急を要してはいるようだった。


 そこからは運転手と二人、カーラジオを聞き流して2時間、和歌山の漁港近くの駐車場に到着した、トランクから出した荷物を抱えて運転手の先導で港の一角に止まった釣り船に案内され船長を紹介された、まぁ紹介というよりは『この船です』って感じで乗り込み、船長と二言三言会話して、そそくさと帰って行ったが。

 船長に手渡された救命胴衣を身に着ける、法律上、全員が救命胴衣を身に着けないと出港できないらしい。


 そこからさらに数時間、船酔いでグロッキーになりながら船室で横たわって時間が過ぎるのを待ち、暇をもて甘しながら二度寝もできない地獄を無為に過ごして、ようやく島に到着した事を伝えられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ