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自己暗示

 ただどれだけ頑張っても一つの罠を作るのに3日以上は必要だ、集中しても2日は掛かる、サイズや装備を考えると俺の腕ではとても1日で全て作るなんて不可能だ。

 師匠なら可能だろうが技術面で言えば俺は師匠は勿論として数多の職人に劣る、趣味の範疇を越えてはいても平凡的な腕しかない、ギリギリ平均よりは上だとは信じたいがだからと言って卓越しているなんて烏滸がましい、それなりに自信は有れどその程度でしか無いのが現状だ、その道で食っていく訳では無いのだから十分ではあるだろうが。

もう少し師匠の元で修行した方が良かったかもだが基礎はほぼ伝授されているし応用もほぼ網羅済み、後は数を重ねて腕を磨く段階で止まっているからな、これもまた修行なのだろう、もっと緻密に質の良い物を手早く、熟練の域に到達するにはまだまだ時間が掛かるがおそらくこの辺りが俺の限界だろう、それほど真剣に取り組んでいる訳でもないし元々が竹とんぼとか作りたかったって理由だからな、遊びの延長としてなら十分過ぎるくらいだ。


 夕方までチマチマと竹を編んで六割くらいかね、蓋も含めるなら五割程度か、半日としてはかなり早いと言うか早くなったな、集中していたか腕が上がったのか、さてどちらかね。

 風も穏やかだし漁も可能かもだ、動きたくはないが食料確保の可能性があるなら行っておきたい。

とりあえず無駄を無くすため少しばかり遠回りだが一度滝を目指す、仮に海が荒れていたならここで引き返せばロスは少ない、大丈夫なら若干の遠回りになるが総合的に見れば損はない。


 少しだけ波は有るが許容範囲だろう、これなら漁も可能だ。

 雨が降った日の漁は始めてに近いんじゃないかな、有ったとしても記憶にないくらいに以前だ、まぁこのレベルの波だと普段でも有るし気にしなくても良いと言うか数に数えるまでもないと言ったところか。

やはり少しばかり少ないが回復の兆しも見えるという微妙な漁果を手に拠点に戻る、上向き傾向なのは良いのだが完全回復は遠いな、長引いたせいで焼き干しの残りも半分を切った、全くもって不本意で面倒だな。


 夕飯を終えて一息着きつつコーヒーを楽しむ、こんな状況で余裕咬ますとかどうかしているが逸る気持ちを落ち着かせるために、余裕綽々だというポーズを取ることで自分自身を欺くために、言ってしまえばただの自己暗示の為の舞台装置のようなものだ。

 ひたすら大丈夫だと言い続けるより、思い続けるより単純で効果的だろう、ただコップが最近切り出したばかりの竹だから匂いがな、そう言えば笹の葉茶とか有るし真竹の葉でもお茶になるかもだな、少し予定外だが明日辺り用意してみるか。

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