疲労
さて、そろそろ眠る時間だ、と言っても今日は何時もとは違う、何時もならテントに潜り込み、寝袋に潜り込み、静かに眠りに体を委ねる。
だが今日からはテントはない、変わりとなるのは竹のシェルターだ、ゆっくり眠れるかは俺の図太さが核になるだろう。
ガタガタの床に腰を落ち着け、寝袋に潜り込み、体を横にする。素晴らしく腰に来そうだな、数日ならともかく長期的に見れば間違いなく腰に激痛が走る事になるだろう。
気分は最悪だな、寝心地も最悪、寝付きも最悪、寝覚めも最悪、これを良しと言えるのは修行僧とか、そういう部類の人間くらいだろう。
体はバキバキに痛む、ギシギシと軋むし、いくら寝袋のクッション製が良いとは言え、その下がガタガタの床では効果は薄いらしい。
いつもなら柔らかいとは言わないし平らでもないが地面の上にテントを張り、床はシートが二重になっている上に、さらにもう一枚敷いているため地面が多少ガタガタのデコボコでも問題にならない。
これじゃ体が持たないし床板の改築も急務だな。
さて、本日も朝の一幕として磯に向かうとしよう。
とりあえず一晩寝かした罠を取り出し中を確認する、蛸が二匹ヌルリと竹筒からこぼれ出る、水蛸か真蛸か、ヒョウモンダコじゃないだけ良い、あれは下手に触れば死に食えば死ぬ、だが昨日は運悪く出ただけだろう、種子島と同じくらいの緯度だし黒潮の流れもある。流れ着く可能性は非常に高い、おそらく一匹や二匹では無かろうが流石に繁殖とまでは行ってないと信じたい。
さてどちらに転ぶにせよ、今はまだ不明瞭だな。蛸一匹に四苦八苦するのもバカらしいが馬鹿にしたら死ぬ化け物相手には対応として不味いが、流石に絶滅させるレベルで殺して回るのは不可能だしな。
とまれ、食料は手に入ったし、飯の前に漂着物の山を片付けるとしよう。
食料をシェルターに放置して漂着物が流れ着く浜に向かう、まだ気温的に傷んだりしないだろうし、ありがたい事に虫もいないみたいだからな、夏になれば可能な限り早く食べるが、まだギリギリ大丈夫だろう。
少なくとも火を通せばイケる筈だ。
さて山の攻略だ、と言ってもゴミの山だが、踏破するにも登れば怪我するので切り崩すという表現になるだろう。
流木やら漁に使うと思われる網やらブイやらを引きずり出し、代わりに現れる新たな何かに取り掛かる、下手に引き抜けば一気に崩れるため上の方から順に少しずつ少しずつ。
使えそうな物を一ヶ所に纏め、それ以外は放置する、ひたすらゴミの山に戦いを挑む。




