エゴにより
さて、問題はここからだ、大量では無いにしても出てしまったゴミの処理をどうするのか、物凄く悩むな。
麻っぽい綱とかは埋めておけば自然に分解もされるだろうがナイロンとかプラスチック、発泡スチロールと間違いなく土に還らないものの方が多い。
もしかしたら見た目だけで土に還るような材料で作られているのかもだし、そういった物が在るというのも知ってはいるが全体の一割にも満たないと言うか1%でも多いくらいだろう。
かと言ってまた海に流すのも森に放置するのもな、完全な八方塞がりだ。
とりあえず拠点に転がしておくか、海に流すよりはマシだと信じたいが結果はほぼ同じかね、どっちにしてもエゴによる自然の汚染でしかない。
元は俺の物ではないし海を漂っていた物だ、拾わなかった物はそのままにして流れ行くままにしている、だが一度拾った以上は簡単に戻すという選択肢が出てこない、我ながら損な性分だがエゴにまみれるより理想を追いたい、ここは若さ故の理想論だ。
青春と言うには年を重ねているが老け込むような年でもない、何より青春は一生涯続くなんて言う、100歳から見たら50も60も若手だし拾った200歳からなら100歳もまだまだ青いだろう。そこまで生きた人間は居ないだろうが年老いたからと新たな事に挑戦しないなんて事はない、例えば師匠は75から本格的に竹細工を始めた、あれもまた青春なら20代半ばの俺でも青春は半世紀は続く事になる、或いはこの生活だって何時かは青春として語れる日が来るのだろう、ならば武勇伝ではないが語り種が一つ増えるが拠点回りが少しゴチャつく程度は許容しよう。
とりあえずテントの中に入れる物を入れてしまって整理は後からで良いだろう、どうせ寝るのは半日先だし曇り空とは言え夜よりは明るい、それより何よりゴミを適当な場所に積むのが最優先だ。
邪魔にならないとなると磯に向かう南側、川に向かう西側、薪干場に向かう北側は無いな、とりあえず東側で良いだろう、今のところは何もないし。
東側がゴミ処理場になりつつあるのはどうかとも思うがマジで何もないんだよな、特に真東ともなるとおおよそその先にシェルターが有るってくらいでルートにしても一度磯に出てから竹林迂回ルートで満足している、と言うか仮に最短ルート作っても坂道的な問題で5分くらいしか差はないだろう、それでも整備をすれば10分は望めるが坂が急だし危険度は増すんだよな。
とりあえず適当に拠点の外に運び出しておく、これで見た目の体裁は整えた、まるで急に彼女が来たから見られたくない物を押し入れに詰め込むが如くだが仕方がない、これ以上はどうしても望めないし叶わない、最善の一手が悔やまれるというのも相当に珍しい体験かもしれないな。




