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地獄画図

荷物としての薪を下ろして温泉に到着だ、日が昇って温かさも増したし太陽がやや霞む程度の薄曇りと放射冷却にはなりそうにもない、ここ最近はあまりの寒さに手とかボロボロだからな、応急セットの軟膏がそろそろ底を見せている。

 補給品の分がまだ有るし次の補給にも入っているとしても厳しい、墨巣さんと交代で癒しつつとは言え限界も近いからな、温泉の効能にヒビやあかぎれを治す物が有ってほしいし叶うならこのくらいの気温が続いてほしい、ただ残念な事に洗い物をするための水は冷たい湧き水で皿を洗う、そのためだけにお湯を沸かすわけにもいかないから結局はヒビやあかぎれになる、必要なのはゴム手袋かね。

過去にも幾つか流れ着いてるし穴の空いていない物も幾つもあったと記憶しているしついでだから拾っておくかね。


 ゆっくりと疲れと汚れを落として温泉を楽しみ墨巣さんと交代する、多少の湯冷めは仕方がないとは言え今日は劇的じゃないから助かるな、寒さに凍えるのは同じでも温度差が違うだけで随分と違う、それこそ真冬と春先くらいの差は有るように思うが差としては5℃とかその程度だろう。

 それでも海岸線は風も有って寒いな、やはり森の中だと風が相当に遮られていると体感できている、天然の防風林のおかげで拠点回りはかなり恵まれていると今さらながらに実感してしまう、普通に考えると海岸線で高台でと風が強く吹く条件は揃っている、だが幸いにして数メートルどころか数十メートル単位で木々の壁が風を防いでくれている。

それこそ台風が来ても拓いた分だけ吹き込む事は有ってもテントが飛ばされそうな危機感は本気で覚えていない、来る度に強化していたというのもあるが間違いなく森に守られていると頭の何処かで理解していたのだろうな。


 何時もの如く大量にうず高く乱雑なゴミの山は減っているのか増えているのか動いたのかそうでないのか判断に迷う、その大半は釣具とか船の部品や漁具、残りは生活ごみ、その殆どが海草にまみれていたり貝がへばりついていたりと混沌とした有り様だ。

 それこそ一部分を切り取って色を抜き、キュビズムに任せればちょっとした地獄絵図が完成する事だろう。

或いは悪魔の(ハラワタ)想像図とかが完成するだろうってぐらいにグロテスクだ、それこそ完成した絵を見た子供に強烈なトラウマ植え付けるくらいはするだろう、大人の俺でさえ若干引くし。


 ゴム長靴とかブイとかロープ、ルアーに釣り糸、ペットボトルにハンガー、カップ麺の容器の破片にヘルメット、ボールに至っては野球にテニス、バレーにサッカーバスケまで、学校の体育倉庫かというくらいに流れ着いている。

 そんな中で比較的きれいなゴム手袋がサイズと色とバラバラに数個見付かった、ただ残念ながら墨巣さんに合いそうなのは色違いで一揃いだが俺のサイズの右手用が見付からない、有っても謎の貝がビッシリで手を突っ込むには危険すぎる。

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