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頑強

 搬入済みの竹を割って手早く節を抜いていく、これに関しては島に来る前から長年培ってきたからな、今さら失敗なんてする筈もない。

 後は使えそうな部分を選んで組み合わせてだな、排水路を作った時と違い雨に急かされたりはしないのだし、のんびりと作業が可能だ、それこそ選びに選び抜いて数日掛かろうとも問題無い、傷みは有るとは言えその程度の日数は余裕で耐えるし倍どころか10倍でも耐えるだろう。

黴ていようが虫食いが有ろうが竹は良いもので適切に処理して使えば年単位で使える素材だからな、それこそ土壁の骨組みとかなら百年単位でも原形を止めるだろう、残念ながらその前に家を取り壊すなりするだろうし改修工事とかで交換されるのだろうが、それでも我が家の土蔵とかぶっ壊した時に竹の骨組み残ってたからな、確か第二次大戦の頃に倉一つ増やしてシェルター代わりにしたんだったか、俺がガキの頃に昔から有る倉の改修工事のついでにぶっ壊したら竹が出てきて驚いたのを覚えている。


 と言うか良く良く考えれば我が家最古の建物である倉を壊して新しいのに変えるって中々にヤバイ事してるよな、母屋とかは2000年代に入る前にリフォームしてそれ以降建て増し建て替えで残ってるのは屋根瓦とかくらいだが倉に関しては増えた一つを除けば三つとも戦国時代からの遺物な訳だし、まぁ中に入ってる貴重品の管理とか考えると必要な事だったのだがその道のプロや研究家好事家辺りが知ったら発狂しそうだよな。

 まぁ完全な建て替えは一つだけで残りの二つは補強と耐震だけだから完全にではないにしても昔のままだ、ただでさえ重い扉が歪みで開き辛かったり閉まらなかったりが無くなったし地震の度に茶わんとか割れてたからな、あれはあれで損失だから必要な事と割りきるしかない、それこそ家康から貰った家宝の壺とか歴代将軍から貰った茶器とか知り合いに貰った香炉、借金のカタに受け取った絵や置き物、幾つかは古さのせいもあって失ったからな。

その前から売り払ったり割ったりしてバカみたいに長い目録に載ってても箱すら無い物も多いし箱は有っても中身は空とかもざらに有る、一倉の手紙と絵巻きで七割、二倉の茶器香炉で半分、三倉の武具が八割と我が家の宝物(ほうもつ)はいつの間にかその半数近くが消えている、とりあえず祖父の代になってからは花瓶が幾つか割れたくらいらしいが特に価値が有るらしい内の一つが地震で剥離した壁で割れたからな、金継ぎで直したとはいえ問題だらけだしセキュリティ強化の面も考えて大修理&建て替えを行ない一と三の倉は時代劇に出てきそうな風体だが二の倉だけ風体は同じでも真新しさが物凄く浮いた印象になっている。


 まぁ大事なのは外側の倉じゃなくて中身だから真新しさが際立とうが関係ない、関係各所の溜飲を下げる意味でも一つしか建て替えてないだけありがたいと思ってほしい、個人の持ち物なんだから口出しすら普通はおかしいのだし。

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