酒の好み
お昼を済ます頃にはスモーカーの熱も抜けてちょっと熱いかなくらいには落ち着いている、中を確認してみれば飴色の魚が並んでいて市場とかに出せば一尾300円くらいにはなりそうなくらい綺麗だ。
これで焼き干しにアクセントとしてのプラスアルファが復活した事になる、お弁当にしろ雨での食事にしろ焼き干しだけだと飽きてくるからな、塩を舐めたり水飲んだりでは解消できないが燻製ならその香りと風味で箸やすめ的には十分すぎる、それこそ燻製をオカズに焼き干しを食べるという謎の状況になるだろう。
さて、腹も膨れた事だし次に行くとしようかね。
青天が何処までも続く昼下がり、濡れた地面と合わさってそれなりに寒い、物凄く寒い訳ではないし寒波って感じでもないが肌寒さは感じてしまう。
こう寒いと燻製を肴に熱燗で一杯とかやりたくなるのが普通なんだろうが酒になりそうなのは味醂くらいだし何より食料や資源の無駄だろう、それに俺は熱燗よりお湯割りの方が好きなんだよな、麦焼酎と燻製、それに焼き味噌とか有ったら最高だろう、後はスコッチをロックでと言うのも乙だろう、もしくはキンキンに冷えている湧き水使った水割りで、今さらだが麦の酒好きだよな俺。
確か先輩にスコッチを呑まされて以来か、16年物のアイラの古豪は俺の舌に合ってそれ以来そのメーカーの物を愛飲しているが先輩曰く『何人かに飲ませたけど気に入ったのはお前くらい』らしい、確かに癖は強いが最高に旨いと思えてしまう、強烈なピート臭に樽の香りが交わる、薬臭いなんてとんでもない、その奥に隠された香りや風味は第一印象のパンチ力に反して何処までも細やかな複雑な風味はワルツの如くだ。
それから五大ウィスキーは一通り試したがスコッチ、特にアイラに傾倒して久しい、まぁ全てを飲んだ訳ではないし有名どころを嗜んだ程度だから評価できるとは思っていないし結局は好みになる、それこそ先輩もあまり好きになれなかったらしく減らすために他人に奨めたらしいし気に入ったのを見て残りを押し付けてきたくらいだからな。
アレから数年か、酒は強くはないが飲みたいな、禁煙は良いことなんだろうが禁酒はどうにもな、同じ半年を過ごしたが欲しいと思う割合は酒に大きく軍配が上がる、どころか煙草に関しては吸いたいと思ったのが片手で足りるな、タールとか強いの吸ってたのにほとんど気にならない、思いの外ニコチンに体を支配されていなかったのかそれともそういう体質なのか頭痛とかイライラとか感じないんだよな。
午後からの作業として塩作りをスタートする、これも作業が止まってからそれなりに時間が経って相応に消費したからな、それでも少しは増やせるだろう。




