潔さと泥臭さ
昨日と同じく寒いが昨日よりはマシかね、感覚が鈍るから判断に迷うがほんの少し、気持ち程度だが暖かい気がする、そう思わないとやっていられないからかもだが気持ちにすがり付いてでも寒さから離れたい。
気持ち一つで暖かく感じられるならありがたいじゃないか、どちらにしても寒いのに変わりはないのかもしれないが少なくとも寒さに震えるだけより幾分かは救われる。
黙して死すか語って去ぬかみたいな二択だがどうせなら悪あがきした方が良い、前者は潔く格好良いのかもしれないが全て諦めただけだ、泥臭くとも諦めずに石にかじりついてでも耐えれば好機が転がってくるかもしれない、ほんの僅かでも現状を良くするのなら気持ちだろうと頼りにする、藁でも細い糸でも燃えたぎるマグマでも溺れているなら掴むのと同じだ。
カイロ欲しいな、と切実に思う、残念な事にと言うべきかありがたい事にと言うべきか使っている水筒は中の温度を保つ仕様のためお湯を入れようともカイロにはならないし竹筒ならカイロにはなるが漏れの心配が出てしまう、ある程度はどうにかできるし方法も簡単なんだが持続力は低いからな、お湯を沸かす手間を考えるとな。
まぁカイロと言うより湯タンポか、残念ながら消費する薪を考えると使えないな、薪も消費せずにカイロ足り得るとするなら師匠が使ってた白金懐炉とか炭と鉄粉使った、要は化学反応の過程で熱を帯びる性質を利用した物だが金属はそれなりに有るが材質不明だし薬品とか無いんだよな、当然ながら炭も無いし確か不完全燃焼させて作るんだったか、うろ覚えだと作れないし設備とか必要だろう。
結果的に体動かした方が早いという結論しか出ない、まぁ墨巣さんと性的な意味を除いて抱き合うとかもあるが当然のように除外案件だろう。それならまだスマイリー、いや狸を餌付けして抱くな、毛皮とか暖かそうだし犬科だから懐くイメージもある、ほとんどと言うか初めて見掛けてから姿を消しているが少なくとも鹿やゴリラやマレーグマよりは勝算があるだろう。
ただ残念ながらこの案も駄目だな、何せ現代においても動物由来の感染症や寄生虫は駆逐できていないしペットとして売られている個体ですら感染している場合も有るのだ、完全野生の動物と触れ合うのはマズイ、それも数年か数十年か数百年か、世代を跨いだか解らないが無人島で暮らしているんだ、亜種とか変異種とか持っているかもな。
虚しく寂しく体を動かして暖を取るという、ストーブとか火とか勝手に触るなと言明された子供時代でもやってなかったような方法で体を暖めて漁に向かう。
海岸に出ると一段と寒さが増す気がするのは風のせいかそれとも水辺だからか、いずれにしても身を切るような冷水には触れないとだし気合いを入れていこう。




