当たり
ようやく竿先が大きくしなり釣り糸が暴れだす、初めての当たりに焦りつつ竿を立てて糸を手繰る、地味に長いから大変だな。
リールでも有るなら楽なんだが無いからな、木の棒に巻き付けながら片手で強度に不安の残る竿を操り片手でクルクルと巻いていく。
後は糸が切れるか竿が折れるかする前に釣り上げないとだが間に合うかどうか五分五分だがなんとかしてみせる、大きさや種類は兎も角として初めての釣果になるかもなんだ、確実に仕留めてみせる。
なんとか砂浜に上がったのは何処にでもいるだろうボラだ、カレー粉でもあるなら食えなくはないだろうが無いしな、頑張って泥抜きして血抜きして処理をすれば食えるが面倒だしそこまで食い物に困っている訳でもない、だが幸いにしてこの当たりに河口なんて無いから沖ボラに近いだろうし今は真冬で脂も乗っているだろう、少しばかり試して見るのも良いかもな。
ただ試そうにも水槽になりそうなの持ってきていないし漂着物を取りに行く間に死ぬだろうし釣糸を付けたまま泳がせるにしても逃げられるだろうし残念だがリリースするとしよう。
釣り針を外して軽く放り投げて逃がし絡まないように釣糸を解していく、後はもう一度竿を振りたいがそろそろ墨巣さんが戻るだろうな、まぁ飯までは時間も有るし続けるとしよう、またボラなら微妙な気分にしかならないが釣れるだけ良い。
少なくとも小魚ルアーよりは気配を感じるし釣れもした、後は簡単に食べられる魚でも釣れてくれたなら言う事無しだ。
釣れるなら、そうだな、島に来てから食べていないヒラメとかカレイ辺りか、もしかしたらハマチ辺りは釣れる可能性も有るがマグロは流石に無理かね、磯や砂浜付近の魚のイメージ無いし変り者が居るにしてもサイズは小さいだろう。
後はアジ辺りは居てくれそうだし想像するだけでワクワクしてくる、ただ趣味や暇潰しの域を出てはならない。
漁の方法として釣りと言うのはかなりリスキーだ、罠と違って付きっきりじゃないといけないからな、捕れるかどうか不明って点は同じだが掛ける時間は全く違う。
ルアーを投げて後は誘いつつ待ちだ、次は何が釣れるか解らないが昼飯までに一匹ぐらいは釣れて欲しいな。
合流した墨巣さんと共に釣りを続けたが気配は有れど釣れはしなかったな、だがボラとは言え初めての釣果は有った、この方向性は当たりだろう。
ただ同じ事を続けると慣れられるかもだし次の手も考えておかないとだ、いや、違うな、普通に考えて一つはお手製のテキトー極まるルアーとは言え二種類のルアーを投げてボラが一匹、いわゆるスレている魚が多いって事なのだとしたらやはり上陸している奴は居るのだろう、少なくともこの近くで釣りをしている奴は居る、それも一人や二人じゃなくて大勢だ、少々と言わずに面倒だな。




