朝の寒さ
漁を終えてタコと小魚を持ち帰る、量としては微妙だがギリギリ焼き干し無しでも腹七分目くらいにはなるかね。
考えてみればこちらの拠点だと雨とかを除いて捕れた魚だけで腹半分より下になった記憶がないな、シェルター付近だとそれが当たり前だったのに気付けば満腹に慣れてしまっている。
一度染み付いた生活の質を落とすのは難しいと言うがシェルターで過ごさないといけなくなったらどうするのかね、まぁその時はその時に考えるしかないのだが今から憂鬱になりそうだ。
とりあえず料理を手早く完成させて美味しく頂く事にする、流石に漫画のように放り投げた魚を一瞬で刺身盛りにとかはできないが魚屋さん並みに無駄なく綺麗に捌くのは余裕で可能だ。
まぁコレに関してはこの島に来るより前から収得していたが磨きは掛かっている、より素早く且つ丁寧に美しく、アジくらいのサイズなら1分で三枚にして1分で刺身にだ、流石にゴンスイとかオコゼみたいな毒針持ちはもう少し時間が掛かるしウナギやハモはさらにだがこの先鶴子が何を釣ってきても、それこそ小型のマグロとか釣り上げても何とかなりそうなくらいには経験を重ねている。
寝袋から這い出てすぐに戻りたくなるくらいに肌寒い朝の気温に辟易としつつも気合いと根性で手ぐすね引いている寝袋から後ろ髪引かれつつも決別してテントから出る。
軽く延びをしつつ朝の空気を肺に入れる、空気がまるで氷の如く冷たいがすぐに慣れるだろう、呼吸が辛いレベルの冷たさ寒さではないし気温にしたって明け方前でも一桁後半は有る筈だ、地元だとこの時期どのくらいだったかは覚えていないと言うかいちいち気にする事も無かったから判別は付かないがおぼろげな記憶が確かならもっと寒かった。
まぁ流石に身を切るような寒さはもう少し先だし豪雪地帯に比べればマシなんだが山からの吹き下ろしは冷たいんだよな、実家が山のほぼ真下に有る上に山側に塀とか無いから裏庭の畑とか地味に冷蔵庫並みに寒かった。
あの頃に比べれば幾分かはマシだが寒いものは寒い、さっさと体を動かして暖めるとしよう。
ストレッチと体操で頭と体を起こしつつ寒さに対抗するための熱を生み出す、寒いと無駄に体力消耗するからサバイバルとの相性最悪なんだが止める訳にもいかないし消費分を賄うために食事を三食満腹でとはいかないからな、可能な限り無駄を無くしたいが動かないと寒いしの堂々めぐり。ならば焚き火でもと思うが足りないから探しだそうって時にそれはどうかと思うし何より他にやる事が有る状況で拠点にかじりついて焚き火の前に陣取る程寒くはない。
とは言えだ、コレから先寒さが増してきて冬将軍がどっかりと居座るようならそれもやむ無し、そのためにも薪は多い方が良さそうだな。




