独自
滝の上から海を確認してみるがやはり船は見当たらないな、俺としてはそれで良いのだが肩透かし感は否めない。
素直に喜べば良いのだが変に間が開くと慣れてしまいそうで怖い、だからと言って連日連夜で大船団に並ばれても困るのだが緩急はゴメンだ、パッと済まして次へと向かいたい、まぁ相手が有るから仕方がないのだがジリジリと精神を蝕むようで気持ちのいいものではない。
とまれ、だ、ウダウダ言っていてもどうしようもないからな、切り替えて動いていくとしよう。
タコが二匹にハゼが少しと大きめのオコゼが三尾、ご飯も炊きたいし俺の漁果だけで十分に二人が満腹になりそうだな。
持ち帰った獲物をテキパキと処理して調理を進めていく、タコ飯にタコの炒め物、揚げ焼きにしたオコゼにハゼの塩焼き、相変わらず見た目だけなら豪勢と言っても良い夕飯だな。
しかしミスったな、オコゼでうしお汁を作ればもっと豪勢な夕飯になった、残念な事に次の機会に持ち越すしかないらしい、幸いにして機会はそれなりに訪れるし忘れていなければリベンジしよう。
夕飯を終えて跡片付けだ、燃え尽きた灰や燃えさしに土をかけて消火しつつ魚の骨や頭を纏めていく、洗い物も纏めておいて今日は墨巣さんが皿洗い担当だから押し付ける、俺はゴミ処理だな。
プラスチックの塵取のような物に生ゴミと灰を入れて拠点から少し離れた場所に掘ったゴミ捨て場に入れて土で蓋をする。
灰や燃えさしは土に返らなかったと記憶しているが魚の頭と骨は分解される筈だ、まぁ完全に消えるのに数年か数十年は必要になるだろうが、虫とか居るならもう少し分解も早まるのだろうが幸いな事に、或いは残念な事にこの島に虫はあまり居ない。
おかげで今年の夏は蚊に血を吸われなかったし寝入る時に耳元を飛ばれてストレス溜まるなんて事もなかった、ただ蜂は居るっぽいし蜘蛛も居た、まだ見てはいないが黒いアイツだって居るかもしれない、流石に独自進化した亜種個体とかは居ないだろうし居ても気付かないが何にしても俺の寿命が訪れても捨てたゴミは残っているかもだな。
まぁ狸や熊、ゴリラの餌になるかもだがその前に腐る方が早いだろうな、危ないとしたら捨ててから数時間であり毎日毎日二回もその危険は更新されている、まぁ今のところ荒らされた形跡はないし今まで大丈夫だったんだ、土の下は間違いなく腐った内臓やらの悪臭地獄、人間には気付かないが動物なら気付く、いくら腹を空かせた動物でも近付きたくはないだろう。




