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ルアー

 墨巣さんが戻ってくるまで粘っては見たがナシのつぶてだったな、鶴子ならこの装備でも何か釣り上げる事ができるのかもしれないが素人同然の俺では無理なのだろう。

 ただ、暇つぶしにはなる、何をするでもなく竿を投げるというのも乙な物だし心の安息にもなる、休暇を楽しむという意味でもプラスだろう、ただ一つ残念なのは釣れないって事実だけだな。

ふと、頭の片隅にある事がよぎる、これが天啓なら余りにも酷すぎると子供のように泣き叫んでも誰も咎めないだろう、少なくとも状況を把握しているという前提で俺なら咎めない可能性。すなわち、俺は無理でも墨巣さんなら釣るんじゃね? というどうしようもない可能性、銛のように俺にはセンスが無いだけじゃないか? という疑念が頭の片隅で産声を上げていた。


 さて困った、これを無視して封じ込めるかそれとも恥も外聞もなく利を取るか、まぁ後者だな、何せ仮に墨巣さんが『私も釣りをしてみたい』と言い出して万が一にも魚を釣り上げたなら俺の心へのダメージは過去最大となるだろう、ならば自分から飛び込んで少しでも衝撃を抑えたい、とは言えそれはお昼ご飯が済んでからで良いだろう、幸いにしてと言うべきか墨巣さんの竿を作るのは5分足らずだ、昼飯後に二人で存分に楽しんでから帰っても夕方には余裕で間に合う。

 焼き干しを炙っただけの食事をしつつも海に目を光らせる、残念ながらここは遮蔽物皆無の海岸線だからな、仮に今日も船を出してきてこの近くを通るなら見付かるのは時間の問題だろう。

昨日の船がどうなったのか解らないというのも手伝って慎重にならざるをえない、俺一人ならまだしも墨巣さんがいるなら特にだ。


 とりあえず手頃なサイズの薪に糸を結んで釣り竿が完成する、簡易式ならこんなものだろう、拘るならシナリとかに拘りたいがとりあえずはこれでいい。

 とりあえず俺が使っていた竹製の釣り竿を墨巣さんに渡すとして俺はこの簡易竿擬きを使うとしよう。

まぁ釣れるとは思わないが暇つぶしにはなるだろう。


「時間は有るし暇つぶしにどうかな?」

 問いかけつつ竹竿を突き出す、乗ってくるかは解らないが乗ってきたとして墨巣さんが魚を釣ったら、そうだな、今晩は寝袋の中でヒッソリ泣くくらいか、少なくとも心が折られる事はない。

「あまり釣りには好感が持てないのよね、ルアーだからましだけれども餌とか触れそうにないし」

餌っていうとゴカイとかミミズとかか、まぁ見た目は気持ち悪いよな、あぁ、小魚系じゃなくてワーム系のルアーならもしかしたら釣れるかね、適当にゴム製の物を細く裂いて針に付ければソレっぽくなりそうだし次の機会には試してみよう。

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