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 少しずつ船が迫る中で豆粒から小指の先くらいには動いている人が判別可能になったがやはり竿は持っていないな、と言うか舳先に人が数人集まっていて釣りではなさそうだ。

 普通に考えて船を動かしながら釣るならスクリューに絡まったりしないように船尾から竿を投げるだろうからな、まるでこの島に一番乗りするって感じで三人、いや四人くらいか、集まっている。

親指の先くらいにまで大きくなる頃になって手元の辺りがキラキラと太陽を反射して、あぁこれは間違いないと電話を取り出して電源を入れる。


 あの位置だとあり得ないが服とか救命胴衣に付いた反射板にしては小さいし間違いなくカメラだろう、もしかしたら鏡って可能性もあるが全員が持ってるか? 仮に持っているにしてもタイミングが残り約200メートルを切った辺りからとなればその可能性は排除していい。

 どうやら食い詰めたバカか本物のバカか、マスコミに関係する誰かが来たらしい。


 3番をプッシュして通話ボタンを押す、少しばかりコール音が鳴り響き

「はいもしもし田中ですがどちら様でしょうか?」

ん? 海上警察に通じるとか言ってたからオペレーターだと思ったが個人かね? とにかく状況説明をしてみるか。


「えっと、高田健太と申します」

 とりあえず先ずは自己紹介だ、これで通じたなら間違っていなかったという事になるが通じないならゴメンナサイの後に糞爺に電話だな。

「あぁ、高田さんの所の、俺に電話って事は誰か上陸でもしたのかな? とりあえず状況教えてくれる?」

「えっと、まだ上陸された訳では無いですがドンドン船が近付いて来てますね、速度はソレほどじゃないですし上陸するには位置が悪いんで多少は時間稼げると思いますが、とりあえず釣り船っぽいのの舳先に五人、それぞれカメラ持ってこちらに向けてます、位置は島の南側、距離的にはざっと百メートルかそこらですね」


 幸いにしてこの辺りは岩礁に囲まれた上陸が難しいポイントだ、仮に泳いででも怪我は必須なくらいに暗礁含めて点在している、これ以上近付くのは不可能だろうし近付けて数メートル、上陸可能な場所となると数キロ北西の俺が上陸したポイントまで行く必用がある、まぁもしかしたら他にも有るかもだが少なくとも東側に上陸可能な浜は無かったからな、有るとしたら西側になるだろう。

「解った、とりあえず近くで自衛隊がまだ訓練中のはずだから連絡しておこう、船の名前とか見えるかい?」

「いえ、舳先と船体の左側は見えますが名前のような物は無いですね、有ったとしても距離的に判別できないと思います」

 視力は悪い訳では無いとは言え直線で百メートル以上先の船に書かれた文字なんて流石に読める筈もない、目を凝らしてようやく人が居るなとか、釣り竿が見当たらないなとかなんとなくで判別可能なレベルだ。双眼鏡とか有るなら話はべつだが反射で此方の位置を知られそうだな、まぁもしかしたら向こうの望遠レンズで捉えられているかもだがソレは解らない、これだけ離れたら視線とか間違いなく感じないし。

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