忍耐
ひたすら耐える、暇な現状と空腹に耐えながら雨の音をBGMに時間が過ぎるのを静かに過ごす。
時おり鍋の海水をかき混ぜて酸素不足に喘ぐ魚に酸素を供給する以外は何もしない。
この島に来てから始めての何もしない日に感慨深くなれば良いのか、それつも愕然とすれば良いのか判断に迷うが、どちらにしてもやるべき事がないと言うのは非常に暇だ。
少し前なら本を読むなり、友人に電話して遊びに行くなり、勉強に勤しむなりとやれる事は沢山あり、余暇という物は無かったが、残念ながら本当に何もない、せいぜいが鍋の中を泳ぐ魚を観察するくらいだが、どうやら狭い鍋の中は落ち着くらしく静かに漂っているだけだし鑑賞には地味な色合いの魚ばかりだ。
時間の感覚はズレているだろうが、それでも大まかに言って午後3時くらい、いつもならそろそろ磯に向かい漁となるのだが、雨足は多少は弱まったがまだ強い。
夕方か夜には止むだろうが明日も地面がぬかるみ、薪が濡れたままで火は使えないだろう。
とりあえず明日も雨なら休みにして様子を見ながら過ごすとしよう。
夕方を越え、まだ元気な魚を生け簀代わりの鍋から出してテキパキと捌いて生で食べる。
明日もし腹を壊したり風邪をひいたりしていたら、等と悪い考えが沸々と湧き出すが、残念ながら強く否定できるだけの材料はない、雨でシャワーなんてやる事がなく濡れたからついでにとは言え正気の沙汰ではない。
夜が明けて目覚めと同時に体に不調がない事に感謝しつつテントから顔を出して外を確認する。
昨日とは正反対の晴天に安堵する、降り続いていたら最悪も最悪だった、梅雨前になんとかする方法を考えないといけない。
いやしかしどうだろう、梅雨前線って日本列島の上に来る訳だし、この島に掛かるとは思えない、まぁ異常気象も有るし、秋の台風シーズンには島の近くを通る台風は多い筈だ。
やはり対策として薪干し場や魚の干物くらいは用意した方が良いだろう。
さて予定の確認だ、まずは薪のチェックに食料の確保、拠点予定地の整備を済まして夕食の狩り、それで今日は終わりだな。
積まれた薪は湿ったままで少なくとも夕方までは使えそうにない、とりあえず湿ったズボンに足を通し、そのなんとも言えない気持ち悪さに耐えながら磯に向かう。
毎度毎度の水抜きは無駄も何もなく、もはや素人の域を越えているように思う、プロとかいないだろうが気持ち的にはプロに近い、もっと流麗に無駄を減らせば職人芸となるだろう。
なったところでどうなんだという話だが、まぁ多少はフザケナイとやってられない。




