鯛飯
竹を運び込みそのまま装備を入れ換えて漁に向かう、俺はタコとウツボにハゼか、墨巣さんの方は黒鯛か、中々に豊漁だな、とりあえず鯛めしと煮付けに焼魚って感じでいこう。
どうでも良いが黒鯛でも鯛めしって言って良いのだろうか、鯛めしと言えばやはり真鯛の赤ともピンクとも取れる鮮やかさが米の白さと共に祝いって感じだが黒と白だとな、まぁ葬式に鯛めし出すなんて事は無いだろうし仮にそういう風習があるにしても黒鯛用意するとは思えない、何より若干ながら色味に問題が有るだけで味は折り紙つきだ。
腹も満たされた所で現金さに呆れてしまいそうになる、どれだけ深刻な状況でも腹は減り、ご飯を食べれば幸せを感じる、意外と単純と言うか、こうなると現実逃避なのか図太いのか解らなくなりそうだ、まぁこの思考も心の動きも平穏を保つための物かもだが流石に穿った見方に過ぎるか、素直に受け入れたいが俺のカオスはそれを良しとしない。
無駄に頭を巡らせて無駄に物事をややこしく、心配性の極地でネガティブにポジティブにあらゆる可能性を網羅しなんて事はしない、最後は何がなんだか解らなくなるくらいの混沌に酔うのが常だしな。
新しい朝が来たがストレッチは親父の考えたオリジナル体操なんだよな、と言うか早朝と言うかほぼほぼ丑三つ時に近いような時間帯だからな、まぁ夏休みの朝の体操も防犯とかの理由で少しずつ薄れているらしいが、と言うか無くなったり復活したり忙しいんだよなアレ、親父の時代は全く無かったとか言ってたし俺でも小三までは有ったがそれ以降は消えたし。
まぁ何にしてもだ、何時ものように準備を済まして漁に向かうとしよう、今日は二人で鳴子の大量生産だ、残念ながら警戒網の設置には時間は足りないだろうが着実な一歩として進んでいくしかない。
まぁ交換用の鳴子を流用しても良いのだが焼け石に水だし結果は変わらない、と言うか警戒網を張るのは何度目かね。
魚を確保してすぐさま竹の加工に取り掛かる、とにかくバラして割って組み合わせての連続だが心を無にで乗り切るとしよう。
ひたすら鳴子が積み重ねられていくが終わりがない、飽き飽きするくらいに続けて感情はもはや何処かに消え去り無心で気付けば昼だ、と言うか魚の干場問題や薪問題も有ると言うのに物凄く忙しいな。
望んでいた訳では無いが来るならもう少し、具体的には1週間程遅く来てほしかった、それなら薪やなんかもある程度片付いて落ち着いた頃だっただろうし急ぎ足で問題に立ち向かう事もなかったのに。




