最悪の一日
とは言えだ、流石に池の真横にテントを張る訳にもいかないし木を何本か斬り倒さないといけないな、かなりの大仕事になるが場所の見当は付いている事だし、今日の残りと明日と明後日の3日でなんとかなる。
来た道を引き返し、木立を抜けて南西に向かう、若干の勾配を昇りきると僅かだか開けた場所がある。
細い木ばかりで多少は陽光の差し込んでおり、天井は周りの木の枝が延びているだけ、とりあえず今日は下草の掃除と若木を斬り倒しておこう。
とりあえず数本の木を斬り倒して放置する、明日には切り株の除去等を済ましてスペースの確保をし、明後日には木の枝の天井を多少は開けさせて最終チェック、引っ越しそれが済んでからになるから3日後か、荷物運びを考えると1週間は潰れるな。
一通りの作業を終えて立ち去り、早々と磯を目指す、予定は差し迫ってはいるが食事の方が比重は重い、食わなければ力は出ないのだから開拓より重視するのは間違ってはいない筈。
そう自らに言い聞かせながらも水を汲み出す作業に従事する、ただひたすら鍋で水を掬い、下段に捨て、もはや無駄のなくなった動きで鍋を操り続ける。
本日も大漁大漁、不漁の未来が見えないレベルだ、仮に一段目に魚が見当たらなくても二段目三段目の潮溜まりが有る、少なくともこの磯で食いっぱぐれは無い筈だ。
魚を手に拠点に戻り、火を灯してテキパキと魚を捌いて串を打ち直火でじっくりと焼いていく。
焚き火での調理は火加減の調整が難しく必然的に焼き加減の調整も難しい、だが約一月も昼夜と繰り返していれば慣れ、美味しそうな焦げ目を持つ焼き魚を作り出すのは容易だ。
本日も満腹の幸せを噛み締めてテントに入る、明日には本拠地設営のための準備作業だ、ゆっくり休むとしよう。
目覚めは最悪だった、疲れがあるとか悪夢を見たとかではなく、ザーザーという雨音という目覚ましはテンションをがた落ちさせて、予定も余裕も吹き飛ばす。
ゴソゴソと寝袋から体を抜き、テントの入口から外の様子を確認する。
やはり雨が降っている、それも豪雨と言えるクラスの雨がザーザーと降り注いでいた。
風は強くないようだが、それでも状況は悪い、この雨では間違いなく焚き火はできないし生の魚を食べるしかない、それ自体は別に構わないのだが漁の難易度は増すだろうし、この様子だと海も荒れている可能性が高い。
最悪の場合はテントに引きこもり、水だけを飲みながら1日を過ごすしかない。




