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匂いだけで

 一通りの説明をするまでもなく、テントの入り口を外から開いて中を除きこんだ瞬間、いや少しばかり間を置いて納得の表情が墨巣さんの顔に浮かんだって事は顔色もすこぶる悪いらしい。

 少なくとも普段の俺とは異なるとすぐに判断できるだけの顔色になってるんだろうな、そこ以外は寝袋の中だから判断できないだろうし。


「見ての通りだ、申し訳ないが今日と明日は一人で動いて貰わないとだし明日は兎も角として今日はフォローも出来ない、まぁ看病して移すとなんだから最低限の食料と水、後は濡れタオルでも用意してくれたなら基本的に放置してくれて構わない」

 なんとか一気呵成に言い切れたと思う、微妙にところどころで詰まった感は有ったと思うが病人にしては上出来だろう。


「そう、とりあえず食料は確保しに行くとして、その前に水を持ってくるわね、後の事は動きながら考えるから貴方は大人しく寝ていてちょうだい」

 やや間が有ってそう言われるがそういう訳にもいかないんだよな、かなり辛いがトイレには行っておきたいしどちらにしても一度は外に出ないとだ、残念ながらゆっくり休むまでしばらく掛かるらしい。


 水を受け取った後、なんとか寝袋から出て重い体で川まで歩いて用を足す、家なら1分足らずなんだがこうして病気になるとトイレまでが遠いな、これは何度もは無理だし繰り返すと体力を消耗して悪化だ、ある程度我慢と小用なら拠点近くの何処かで済ますくらいの覚悟はした方が良いかもな。

 テントに戻ったところで服を着替える、微妙に寝汗も凄いし病原菌とかに汚染されていそうで新しい物に替えたい、残念ながら洗濯は明日に回す事になるが、まぁそれは仕方がない。

手早く全てを済ませて水分を補給して寝袋に体を入れる頃には墨巣さんも戻ってきた、何かしらが捕れていたなら幸いだが問題はここからだよな、一人で作業を進めるのか、それとも休暇に充てるのか、どちらを選んだのか興味はあるが体が眠りを欲している、下手に寝ると生活リズムが崩れそうだが休眠を欲する程度には深刻らしい、素直に寝入るとしよう。


 良い匂いで目が覚める、もはや何度嗅いだかもわからないくらい嗅いだ香りだし、片方は完全に詰まっていて息苦しくて仕方がないような状態だがそれでもこの香りは睡魔から離れるに足る理由らしい。

 匂いだけで皮が焦げていき脂がプツプツと溢れだして爆ぜていく様が見えるようだ、どんな魚を焼いているのかは解らないが良い香りだな。

と言うか気付けば昼か、もしくは夕方だが流石にそこまで寝たって感じはしないし普通に昼だろう。

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