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燻製

 グッスリ眠ったおかげか久々に目が冴えている、なんと言うか淀んでいた疲れが目から消えたかのように軽い、軽いというのは少し違うか、長年染み付いた目の下のクマがなくなったかのような感覚は物凄く気持ちが良いな。

 眠りの質が物凄く良かったからかそれとも熟睡するくらい疲れていたのか、まぁ何にしても体の一部とは言え回復感が有るってのは良いな、疲労感を感じながらの目覚めよりずっと良い。


 心なしか体も軽いがこれは完全に気のせいだろう、まぁありがたいからこのまま身軽に気軽に一日を過ごすとしよう。

 何時もの如く漁を済ましてようやく元の量に戻ったな、ハゼとゴンスイにタコが二匹か、これなら燻製分を差し引いても十分だろう、墨巣さんがカワハギを二匹も突いたってのが最大の理由なのが微妙に情けないがまぁそこは気にしたら終わりだな。

 さて準備に取り掛かるとしようか、まずは竹だ、燻す間に加工して壁の材料作らないと間に合わない、旧拠点から運び込むとしよう。

まぁ間に合うも何も時間制限なんてないからノンビリでも構わないのだが、それでもただ待つだけってのはな、せっかちと言うかなんと言うか、合理的を追い求めるなら正解なんだろうがもっと心に余裕が欲しいね全く。


 一応一通りの準備はできた、後は足りない物を足りない時に補充すれば良いだろう、では早速取り掛かるとしよう。

 まずはハゼとゴンスイを捌いていく、とりあえず4尾ずつで良いだろう、実験だし普通にそのままと塩を振った物を用意してスモーカーの中に吊るす、後はフライパンにチップを入れてゆっくりと加熱するだけだ。


 火は点いているのに炎が上がらない状態になった薪をスモーカーの下に置き、その上にフライパンをセットする、後は随時薪を足しながら燻すだけだ、注意するべきは焦がさない事と燻す時間だけだな。

 竹を加工しながら薫り高い白い煙が一斗缶の中に入っていき微妙に空いた隙間から逃げていくのを見ながらとりあえずこれで良いよなと納得しておく。

流石に下から覗きこんで煙が中に溜まっているかは見れないし残念ながら放置しか手がない、まぁ今回は実験だし問題があるならまた後日にでも改善して行うだけだ、気楽に行こう。


 煙の色を確認して時おりチップを足してみたり古いものを出してみたりしつつ薪を追加しながらジックリと燻していく、なんと言うか大人の時間って感じだな。

 聞くでもなくレコードとか掛けてウィスキーのロックを傾けながら燻製が出来上がるまでの時間を煙草と本に費やす、いや煙草より葉巻の方がそれっぽいか、ログハウスでロマンスグレーのおじさんならいかにもって感じで様になりそうだが青空の下だからな。

まぁそれはそれでアウトドアの醍醐味っぽくて良いのだが、しかしやはりどうしても雰囲気には物足りないな、せめてウィスキーでも有れば様になりそうだが竹の加工しながらって時点でもう駄目だろう。

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