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無駄技能

 ようやく鍋を見付けはしたが穴が空いていて使えないな、残念ながらもう少し頑張るしかないらしい、時間的にそろそろ墨巣さんが戻ってくるから急がないとだが物凄く肩すかし感が強いな。

 ようやく銀色に光る鍋の縁を見付けてゴミを取り除いてみれば大穴だ、と言うかどうやって流れ着いたのかと問いたくなる、仮に普通の鍋ならまだ船の如くプカプカ浮かぶ事も有るかもだが穴が空いていたら確実に沈む、まぁ沈んだとしても潮の流れで少しずつ動くだろうから流れ着いても不思議では無いのかもしれないが謎だな。

ゴミの山を切り崩しても鍋は見付からず、とうとう墨巣さんと合流してお昼ご飯のために移動だ、まぁその前に手を洗う必要があるから一度温泉川を遡るが衛生面を考えれば必要な無駄足だろう。


 お昼を済ませてさてどうしたものか、まだ山と積まれたゴミの中から鍋を探すかそれとも切り上げて穴を掘るか、幾つかのパターンが有るがどう転んでも時間的に穴堀りがベターだろう、仮に鍋を探し出せたとしてもチップが乾ききっていないし量もそれほど用意できていない、試作には十分かもだし好みを確かめるなら試作は必須だが量はともかく感想具合がな、この間の雨がやや響いている。

 まぁ少し湿気たくらいだし微妙な差だな、と言うかこういう事を防ぐためにも干場の建築は必須だな、焼き干しもそこそこダメにしているし。

イメージとしては屋根だけの掘っ建て小屋、まぁ強度と風通りを考えると二面には壁が欲しいし雨跳ねを防ぐためにも下部には全て壁が必要かね。


 一度拠点に戻って装備を入れ換えてさらに漁の準備を持って旧拠点に向かう、しかしまた穴堀りか、そろそろここに居る理由が穴堀りに来たのか水抜きに来たのかになりそうなくらいにメインの作業になっているな、まぁどれだけ穴を掘ろうが水を抜こうがそれが理由になる筈もないのだが。

 とは言え抜いてきた水の量も掘り返した土の量も人力だと物凄い量になっている、まぁ水の方はサイフォンによる力が多分に含まれているがそれでもかなりの量だ、何時だったか50メートルプールに抜いた水を注げば足を濡らすくらいには溜まる等と考えた事があったがそろそろ膝を越えるくらいには溜まり幼児向けプールくらいにはなるだろうな。土の方もトンには届かないが軽トラでは運べないくらいの量にはなっている筈でこちらは完全に人力だから現在の日本だと建築業者か農家くらいしか経験しないレベルで掘り進んでいるからな。

今日も今日とて穴堀りだがもはや慣れと経験はどう掘れば良いのかを踏み締めた感覚と一度のフライパンによる掘り返しで教えてくれる、また元の生活に戻れば全く役に立たないだろう技能を会得してしまっているがそちらもそちらで諦めた、水抜きから始まってサバイバル以外で役に立たないだろう無駄技能も会得できるなら万々歳だ、先はともかく今の生活だと得られるだけ欲しいしな。

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