たっぷり使う
交代で一斗缶と格闘だが残念な事に穴堀りは無理だ、ハンマー振るにしてもスコップで掘るにしても腕を酷使するから回復できないし移動してまでやる必要がない、別の機会に作業した方が効率は良いし体力的にも余裕が生まれるだろう。
残念ながら時間を潰す作業は無いが静かに体を回復休めるのも大事な仕事と割りきるしかない、無理に何かをするにしてもせいぜいが昼飯のために薪を組むくらいだが数分で済んでしまうから終われば手持ちぶさただ。
暇をもて余すが幸いにして何も無い状態で暇を潰す方法は体に染み付いている、精神的に穏やかなら無になれば良いし何かしらで揺らいでいるならボーッとするだけだ、どちらにしても頭は空っぽだが通るルートがやや違う。
交代しながら昼を迎える頃にはようやく穴が空いて後は凹みを多少はマシにするために叩くだけだが先に昼飯を済ませるとしよう、薪ももう組み終わっているから手早く調理は可能だろうし多少の遅れは取り返せるだろう。
腹が落ち着くのを待ってからガンガンと一斗缶を叩いて凹みと歪みを少しだけマシにする、残念ながら巧みな技術で元通りってのは無理だが少なくとも竹がきれいに収まる程度には均さないと使えないだろう。
面を変えながら少しずつ元の形を目指して一斗缶を叩いていく、一面ずつでも良いかもだがバランスが崩れるような気がして二の足を踏んでしまう。
残念ながら予備は無いし仮に有ったとしても再び穴を空けるとなるとやる気は全く湧かないだろう、慎重にならざるを得ない。
それが例え無駄だとしても転ばぬ先の杖で石橋を叩いて渡るだけではなくそこにさらに月夜に行灯持って動くくらいに慎重にならないと物凄く面倒な事になる、リスクとかではなくひたすら面倒になる、どれだけ心の柱が強くとも疲労感とかやる気とか度外視しても立ち直れないレベルで面倒だ。
たっぷり2時間も使って凹みと歪みを取り除き竹を通して柱を建ててセットしてみる、若干のぐらつきは有るしこのままだと煙も隙間から逃げ放題だがとりあえず形にはなっているな、続きとしては粘土で穴埋めと鍋の用意だが現時点で可能なのは穴埋めだけだ。
物凄く大変で一度は心をへし折られた階段に向かい放置された粘土を集めていく、あの時は本当に大変で恨めしかったが今は宝の山に見えてくるから不思議だな。
ある程度集めて川の水を加えて混ぜる、少しずつ水を吸っていきヌチャっとした感触になればとりあえずOKとしておこう、とりあえず強化材として何かを加えたいが砂利だと重いだろうしな、ロープでも解いて容れてみるか、少しは強くなるかもしれない。
拠点に戻り大量にあるロープの中からナイロンっぽく無いものを選んでバラして粘土に加える、後は穴を埋めるように一斗缶に張り付けて乾くまで放置だ、その間に鍋探しだな。




